通信制高校への入学を考えているけど、
「授業料が高いからそこまで親に負担をかけられないな・・」
「自分の給料だけで払っていけるかな?」
と不安に思う人もいるかと思います。
そんな方のために、今回は高等学校等就学支援金(就学支援金)という制度について解説していきたいと思います。
この制度は、簡単に説明すると「授業料や受講料の一部を国が負担してくれる」というもの。
以前は、家庭の経済状況などで高校に通いたくても通えなかった生徒もいましたが、この制度を利用することで、進学を諦めずにすむ生徒が増えました。
ただ、誰でも無限にもらえるわけではありません!
通信制高校でも貰えるの?
いくら貰えるの?
全日制高校から通信制高校に転入した場合も継続できる?
など、詳しく説明していきますので参考にしてくださいね。
目次
就学支援金は通信制高校でも貰えるの?
通信制高校でも対象になるのかな?と不安に思う方もいるかもしれませんが、
受給対象者は、「公立・私立問わず高等学校等に在学し、日本国内に住所がある生徒」で、通信制高校でも関係なく対象となります。
ただし、次のいずれかに該当する場合は受給対象外となります。
・世帯年収が910万円以上(※世帯年収とは、家計を共にする世帯の年収のことです)
・全日制高校の在学期間が通算して36ヶ月、通信制高校の在学期間が通算で48ヶ月(4年)を超えている
・高等学校等(修業年限が3年未満のものは除く)を卒業、または修了した
また、以下の①~③のようなケースの場合は、それぞれで世帯年収の考え方が異なります。
受給できるかどうか不安な場合は、学校に相談してみましょう。
①親が離婚している場合
主に生計を共にして養育をしている親の収入が世帯年収となります
②祖父母と同居の場合
祖父母に収入があったとしてもそれは含まれません。あくまでも、主な養育者である父・母などの収入が世帯年収となります
③生徒自身が20歳以上の場合
自分自身で生計を立てている場合は、生徒自身の年収が世帯年収となります
受給を受けるにあたって、特に気になる点をあげました。
返還は必要なの?
奨学金のようにいつかは返還しないといけないのでは?と思われがちですが、この制度は返還不要なので安心してください。
直接お金を受け取れるの?
国から学校に直接支払われるため、生徒や生徒の保護者がお金を直接受け取ることもできなければ、授業料以外に使用することもできません。
授業料よりも受給額が多い場合、差額分はもらえるの?
差額を受け取ることはできません。
就学支援金の支給日や振込日はいつ?
申請や受け取り等、受給のやり取りはすべて学校を通して行われるため、就学支援金の支給日や振込日というものは特に存在しません。
※学校によっては、授業料を一度全額徴収した後に、就学支援金対象者に対して差額を還付する方法をとっている学校もあります。その還付時期などについては学校に確認してください。
通信制高校でも、一定の条件さえ満たせば受給対象になることがわかったかと思います。
続いて、支給される金額について解説します。
支給される金額によっては授業料が無料になるかも?!
通信制高校の場合、基本的に単位制なので授業料も「1単位あたりいくら」で計算されています。
そのため、就学支援金も1単位ごとに支給されます。
また、授業料が就学支援金を上回る場合、その差額分は自己負担となります。
高校の種類 | 世帯年収 | 単位制授業料 | 定額制授業料 |
公立通信制高校 | 約910万円未満 | 336円 | 520円/月 |
私立通信制高校 | 250万円未満
※(市町村民税所得割 非課税)の世帯 |
12,030円 | 9,900円/月 |
250万円~350万円未満
※(市町村民税所得割額 5万1,300円未満)の世帯 |
9,624円 | ||
350万円~590万円未満
※(市町村民税所得割額 15万4,500円未満)の世帯 |
7,218円 | ||
590万円~910万円未満
※市区町村民税所得割額が304,200円未満 |
4,812円 | ||
910万円以上 | 対象外 |
<公立通信制高校>
地域によっても異なりますが、1単位あたりの授業料はだいたい336円。
なので、ほとんどの地域の公立通信制高校の授業料は実質0円となります。
3年間のトータル受給額:336円×74単位=24,864円
<私立通信制高校>
1単位あたりの授業料は7,000円~12,000円ほど。
保護者の所得によって支給額は異なりますが、年収が約590万円未満の世帯では、授業料は実質0円となります。
3年間のトータル受給額:
世帯年収 | 受給額 |
250万円未満 | 12,030×74単位=890,220円 |
250万円~350万円未満 | 9,624×74単位=712,176円 |
350万円~590万円未満 | 7,218×74単位=534,132円 |
590万円~910万円未満 | 4,812×74単位=356,088円 |
3年間のトータル金額をみると、就学支援金を利用しない手はないですね。
ただ、就学支援金には公立・私立問わず支給期間と支給額(単位数)に上限があります。
・支給期間は48ヶ月(4年間)まで
・在学中に合計74単位まで
・年間で30単位まで
となりますので、上限に気を付けながら、うまく利用しましょう!
対象になり支給される金額もわかったところで、続いては申請方法について解説します。
就学支援金をもらうなら申請は忘れずに!
申請に必要な以下の書類を入学時の4月に提出します。
・受給資格認定申請書(学校を通じて配布されます。)
・マイナンバーカードの写し等(マイナンバーカードの写しのほか、マイナンバー通知カードの写し、マイナンバーが記載された住民票等)マイナンバーで所得要件を確認する場合は、一度書類を提出し認定されることで、原則、進級時等のタイミングでの追加の書類提出は必要ありません。
※課税証明書等による申請について
学校の所在する都道府県によっては、マイナンバーカードの写し等に代わって課税証明書等により手続きを行う場合があります。その場合の申請方法については、都道府県や学校の案内を確認してください。
引用:文部科学省
また、受給資格の認定を受けた後も、世帯年収などの変化がないかを確認するため、毎年7月には下記の書類を提出する必要があります。
・収入状況届出書(学校を通じて配布されます)
・市町村民税所得割額が確認できるもの(市町村民税税額決定通知、納税通知書、課税証明書等)
基本的に、やむを得ない理由を除いて、過去分が支給されることはありません。
学校から書類が配布されたら忘れずに提出しましょう。
全日制高校から通信制高校に転入した場合でも継続できる?
途中で転入した場合でも、継続して受給することはできます!
ただ、支給期間がゼロにリセットされるわけではなく、
通信制高校の支給期間(48ヶ月)ー全日制高校で使用した支給期間(〇ヶ月)×4/3(端数切捨て)
で計算されたものが支給期間となります。
例)全日制高校に20ヶ月在学し、その後通信制高校に転入した場合
48ヶ月ー20ヶ月×4/3(端数切捨て)=22カ月分
ただし、上記でも説明したとおり、
全日制高校の在学期間が通算して36ヶ月、通信制高校の在学期間が通算で48ヶ月(4年)を超えている場合は、この制度を利用することができませんので、ご注意ください。
休学する場合も注意が必要!
何らかの事情で休学する時は、支給停止手続きを行ってください。
なぜかというと、手続きを行わないと、休学期間中も就学支援金の支給対象期間となってしまうからです。
特に注意が必要なのが、休学中に授業料が発生しない学校。
というのも、基本的に就学支援金は授業料の減額という形で支給されるため、休学によって授業料が発生しない期間だからといっても「就学支援金0円」として支給されてしまいます。
つまり、1ヶ月の授業料が0円=1ヶ月の就学支援金も0円で支払われ、さらに支給期間1か月分としてカウントされてしまうということ。
もちろん、支給期間が上限の48ヶ月に達すればその時点で支給は終了となります。
こんな無駄なことないですよね。
このような状況を避けるためにも、休学する時は就学支援金の支給停止手続きを忘れずに行いましょう。
まとめ
今回は「就学支援金」制度について、説明してきました。
通信制高校でも関係なく受給対象になりますし、
・公立であれば世帯年収910万円未満は授業料は実質0円
・私立であれば世帯年収約590万未満は授業料は実質0円
と、公立・私立問わず授業料の負担が大きく減り、学費全体の自己負担が1割~5割で済むようになります。
また、全日制高校から通信制高校に転入した場合でも継続して利用できるのも助かりますよね。
ただ、休学の際は支給停止手続きを行ってくださいね。
手続きを行わないと損してしまうかもしれませんので、そこは忘れずに!
この制度をうまく利用して無理のない範囲で通える学校を見つけてくださいね。