不登校は学校に通う子供がストレスや不安を感じ登校できなくなったり登校を拒否してしまうことです。我が子が不登校になってしまうと「うちの子、何かの病気にかかっているかもしれない」「どんな風に接していけばいいの」と心配されるかと思います。
この記事では
・なぜ不登校の原因は病気と思われがちなの?
・実際に不登校の原因となる病気とは?
・病気で不登校になった人はどれくらいいるの?
・病気で不登校になってしまった場合どんな対策方法があるの?
について解説しています。是非、参考にしてみてください。
目次
なぜ不登校の原因は病気と思われがちなの?
不登校の子供はなぜ病気だと思われがちなのでしょう。その理由としては主に
・朝起きることができない
・情緒不安定
・体調を崩しやすい
などがあります。この3つの原因にフォーカスをあてて解説していきます。
朝起きることができない
多くの不登校生は朝起きることが苦手です。朝いくら声をかけても起きてこないということがよくあります。どうしたの?と声をかけても「だるい」など曖昧な返事が多いようです。
そんな曖昧な返事をされるとイライラしたりつい怒りたくなると思います。だるいというだけで本当に学校を休ませていいのか、なまけ癖がついてしまったらなど、親としては色々と気がかりです。
しかし子供は上手く言語化できていないだけで本当は様々な悩みを抱えているかもしれません。ですから朝起きれない時はキツく叱ったりせず学校を休ませて様子をみましょう。
現代では学校へ行かなくてもインターネットで学習し単位を履修することが可能です。通信制学校(フリースクール)では進学や就職も目指していけますので、全日制の学校へ行かなくても問題ありません。
情緒不安定
上手く言葉にできない子供は感情のコントロールができずに一人で葛藤しています。「学校に行きたくない」という気持ちと、「親に心配をかけないようにしなきゃ」という気持ちが入り混じったり、落ち込んだかと思ったら、元気に過ごしている時もあったりと感情が不安定です。
子供が元気な時は、学校へ行ったら?と声をかけたくなりますが、周りに心配をかけないように振舞っている場合もありますので、しばらく見守ってみましょう。しばらく時間を置くことで、子供の感情が安定し、落ち着きを取り戻せることがあります。
自分の考えや悩みを話したいと思える時期がきたら話しに耳を傾け、子供を肯定してみましょう。
体調を崩しやすい
学校でストレスを抱えている子供は体調を崩しやすい傾向があります。夜なかなか寝つけなかったり風邪をひきやすかったりして心配になりますが、まずはしばらく学校を休んで様子を見ましょう。
病弱な子になってしまったのではないかと不安に思うかもしれませんが、体調を崩しやすいことは生活環境のせいだけでなく本人の体質や遺伝的な部分も関係してきます。ですから子供を責めたりせずに、その日の子供の体調を気にかけてあげてみてください。
実際に不登校の原因となる病気とは?
不登校の原因となる病気は、自律神経失調症、起立性調節障害、適応障害、思春期うつなどの心の病があげられます。
主な症状は
・落ち込んでいる
・食欲がない、または過食
・寝つきが悪く、朝は起きられない
・動悸や息切れがする
・立ちくらみやめまいがする
これらの症状が何日も続いていたら注意が必要です。
心の病気は精神的なストレスと周りの環境が関わっていますので、自力で治すことは難しいと考えられています。生活に支障をきたしている時は心療内科やメンタルクリニックなどへの受診が必要です。
また心の病は大人になったからと言って治るものではありません。マイナス思考や悪い習慣をほっておくと気づかないうちに病気が悪化していく場合も考えられます。
まずは大人だけで子供について医師に相談してみることをオススメします。親が介入できる子供の時期にカウンセリングを受けることで早期発見ができ、さらに再発防止にも繋がっていきます。
病気で不登校になってしまった人はどれくらいいるの?
文部科学省の平成30年度のデータによると、小学1年生から中学3年生までの不登校児童は16万人以上とされています。不登校は年々増加傾向にあり主な原因として「無気力」「友人関係」「遊び、非行」があげられます。
この16万人のうち病気になって途中退学してしまう児童は例年4%ほどになります。人数にすると約6400人の児童が毎年病気などで不登校から途中退学になっているというデータがあります。
多いとみるか少ないとみるかは人それぞれですが、大人は子供に大きなストレスやダメージを与えないように家庭環境を整えしっかりとフォローしていくべきと感じてもらえたかと思います。
不登校から回復した家庭の体験談
不登校になってしまった我が子とこれからどのように接していけばいいのか迷ってしまいますよね。不登校の子がいるご家庭ではどのような対応をとって克服していかれたのか元不登校の生の声を紹介します。
自分の気持ちを受け入れてくれた
『学校に行きたくないと言って学校を欠席した時に母親から「なんで?」とか「理由を教えて」とか言われると思っていたら、「無理しなくていいよ」「休んでいいよ」と私を受け入れてくれて助かった。』
不登校の初期の頃は、休みたい理由を言いたくなかったり、上手く伝えられずに悩んでしまうお子さんが多いです。さらに家族に心配かけたくないと思っているお子さんは、家族の前では気丈にふるまい気づかないうちに疲弊してしまいます。
学校で何かあったのでは?と聞きたくなる気持ちは抑えてまずはお子さんの意思を尊重してあげてみてください。
色々な進路があることを教えてくれた
『勉強についていけず将来への不安で頭がいっぱいになっていたとき両親が通信制高校のパンフレットをいくつかみせてくれた。中学の勉強からさかのぼって学べる環境があることを教えてくれて、気持ちが楽になった。』
学校の授業スタイルが合わないお子様は意外と多く、周りと比べて自分は授業に追いついていけないと感じてしまうようです。通信制の高校では、ネット学習で単位を修得できたり、自分の体調に合わせて登校することもできます。
中学3年生から通える通信制の高校や学校の近くに住んでいなくても入学できる広域制の高校も数多くありますので、是非お子様に合う学校を探してみてください。
黙って見守っていてくれた
『学校には行きたくなかったけど、将来の夢の為に資格を取りたくて資料請求をして勉強をはじめました。両親から「学校の勉強からやりなさい」と反対されることがなく黙って見守っていてくれて集中できました。』
お子さんが何かに興味を持っていたら、やりたいことを尊重しましょう。内容によっては親として賛成できない場合もあるかと思いますが、興味や関心をもって何かに取り組むことは悪いことではありませんので、少し遠回りだと感じても黙って見守っていきましょう。
ただ、お子様が悩んでいるときや行き詰っていそうなタイミングは見落とさないように注意が必要です。そんな時は「何か手伝えることがあったら言ってね」「応援しているよ」と声をかけてあげてください。
そうすることで、お子さんは自分はほっとかれているのではなく、見守られているのだと実感していきます。
医療機関を勧めてくれた
『部屋に引きこもったままで家族と会話もしたくなかったし食欲もなかった時、家族からカウンセリングを受けに行こうと誘われました。心配されていると感じたし自分も何かの病気かもしれないと思ったので心療内科にかかりました。』
お子さんが無気力だったり食欲がないと見ていて辛かったり、もしかしたら深刻な状態かもしれないと不安になる時もありますよね。親としてどうしたら良いのか分からない時は、勇気を出して心療内科や精神科へ相談しましょう。
症状が軽ければ薬を服用せずカウンセリングだけで回復するケースもたくさんあります。電話相談やオンライン診療などもありますのでお子さんの体調をみて考えていきましょう。
自分の代わりとなって先生とやりとりしてくれた
『担任の先生からの連絡に対応するのを嫌がっていたら母が自分の代わりに、その日の体調やその日の様子を話してくれました。母は先生から聞いた学校の様子を僕に教えてくれたり、学校まで行って先生と話したりしてくれたので僕は学校と距離が置けて良かったです。』
不登校になると担任の先生から電話がかかってきますよね。もしお子さんが先生と話したくないのであれば、無理に繋ぐ必要はありません。そんな時は「しばらく学校と距離を置きたいという本人の意思を尊重したいので」と一言お断りを入れましょう。
心配してくださる先生の厚意を無下にできないと言って無理にお子さんに会話させてしまうと、自宅にいても安心して休めないという状態になってしまいますので無理強いはオススメできません。
子供の代わりに学校側とやりとりしてあげることでお子様の負担を減らすことができます。このような対策をとることで子供たちは不登校を克服していくことができました。
まとめ
不登校は病気だと思われがちですが、ご家庭でできる対策次第で回復に向かう子供も多くいます。
本記事をまとめると
・学校へ通うことが当たり前だという風潮が強い
・子供はストレスを抱えると感情が不安定になりやすい
・心の病気は自律神経失調症、起立性調節障害などがある
・実際に病気などで退学する児童は年間6400人
・子供の為には環境を変えて見守っていくことが大切
我が子が不登校になっても、ご家族の方が味方になって寄り添ってあげることで子供は回復に向かっていきます。最初は心配になったり不安になることも多いと思いますが、我が子を肯定しながら家庭でできる対策をとってみてください。
自分を受け入れてくれる両親が近くにいるだけで子供は安心できます。時間がたてば自ら変わりたいと思うようになっていきますので、ゆっくり見守っていきましょう。ご参考になれば幸いです。