発達障害の方で、
通信制高校への進学を考えているけれど大丈夫かしら?
普通高校に入学したけれど、途中で断念してしまった。通信制高校でやり直したいけれど、どうなの?
と、お悩みの方もいらっしゃるかと思います。
そんな方に、この記事では、
- 通信制高校は発達障害の人に向いている?
- 発達障害の方の通信制高校の選び方
- 発達障害のサポートを期待できる通信制高校
目次
通信制高校は発達障害の人に向いている?
ズバリ!通信制高校は発達障害の方に向いています。
それでは、発達障害の人にとって、通信制高校で得られるメリットから順に解説していきます。
発達障害の人にとっての通信制高校のメリット
まとめると以下のようになります。
- 入試で学科試験を行わない
- 毎日通学する必要がない
- 自由な時間が多い
- いろいろな事情の人に対応する環境がある
- 編入・転入に対応の学校が多い
このように、通信制高校は、発達障害の人にとって、押しなべてプラスに働く環境と言えます。
入試で学科試験を行わない
学力に自信が無い人もチャンスがあります。
発達障害を持つ人の中には、小・中学校で学習に後れを取ってしまっている場合もあります。
そんな人にとって、入試で学科試験が無いのはありがたいですね。
毎日通学する必要がない
発達障害に特有なセンシティブな傾向にある人に向いています。
- 人ごみなどが苦手で、登下校が困難
- 周りの状況に過敏に反応してしまい、落ち着いて勉強できない
- 環境の変化が苦手で、やりずらさを感じてしまう人
など感覚が敏感な人にとって、通学せずに自宅で学習を進められることは大きなメリットとなります。
静かで穏やかな環境やいつもの慣れている環境は、リラックスできるので勉強もはかどります。
自由な時間が多い
自分のペースで学習できます。
発達障害の中には、時間の感覚を持ちずらいといった特徴もあります。
周囲の環境に影響されて、時間内に間に合わなかったり、逆に集中しすぎて、時間の経過を把握できなかったりする人もいます。
そんな人にとって、自由な時間が多ければ、自分に合った時間割りで学習できます。
自己管理を必要としますが、発達障害の人にとってはメリットは大きいと言えます。
いろいろな事情の人に対応する環境がある
自分だけが特別ではないと実感できます。
通信制高校では、発達障害に限らず、いろいろな事情を持った人が学習します。
通信制高校の良さは、さまざまな人に柔軟に対応してもらえる環境であることも挙げられます。
そのため、発達障害を持つ人も「自分は特別なの?」なんて悩む必要はありません。
また、発達障害を持つ人が、安心して学習を進められるコースを用意している学校もあります。
編入・転入に対応の学校が多い
通信制高校はやり直したい人にも対応します。
例えば、普通高校に入学したものの、馴染めずに転入を希望している人や、途中で断念せざるを得なかった人も改めて編入できます。
発達障害を持つ人の中には、自分に合っていない学校を選択してしまったため、不登校に陥るケースも考えられます。
もう一度、自分に合った学校を選び直して、やり直せます。
発達障害の人にとっての通信制高校のデメリット
通信制高校は、発達障害の人にメリットが多いようですが、逆にデメリットも気になりますね。
強いて言えば、以下の点がデメリットと言えるかもしれません。
- スクーリングがある ⇒ 苦手意識が生まれる
スクーリングは、いつもと勝手が違うので苦手意識を持ってしまう人もいるかと思います。
普段は自分の家で、自分のペースで学習できるのは良い点なのですが、
科目の中には、学校内での授業に参加しないと取得できない単位や、期限を守らなければいけない教科もあります。
環境に柔軟に対応することが苦手な発達障害の人にとって、通学は一苦労ですね。そういった意味でデメリットと言えるかもしれません。
通信制高校で感じるデメリットは解消できる?
解消できます。
スクーリングが大きな壁となってしまう人でも、超えられない壁ではありません。通信制高校の中には、スクーリングが極端に少なく設定された学校が多く存在します。
発達障害の方向けの支援が充実した学校であれば、生徒の立場に立って、スクーリングについての問題にも対応してもらえます。
実は発達障害の人向けに、不安や苦手意識を軽減するための支援を行っている通信制高校 が、たくさんあります。
そのような学校を選ぶことで、安心して通うことが可能です。
次の章では、通信制高校選び方を紹介します。
発達障害の人のための通信制高校選び方
安心材料として、3つの項目を挙げました。
CHECK!こんな所に注意して学校を選びましょう!
- 発達障害のサポート体制がある
- 得意な分野を伸ばせる学校
- スクーリングが少なめ、かつスクーリングの内容に配慮している学校
それでは、チェック項目をひとつひとつ解説します。
1. 発達障害のサポート体制がある
通信制高校の中には、発達障害のサポート体制を充実させた学校が多く見られます。具体的なサポート内容は、以下の通りです。
- 発達障害を理解してくれるスクールカウンセラーが居る通信制高校
- それぞれのレベルに合わせた学習の支援
- 登校が苦手な人に対する、スクーリングのサポート
- 勉強だけではなく、精神面や生活面、コミュニケーションについてもサポート
それでは、それぞれを解説していきます。
1. 発達障害を理解してくれるスクールカウンセラーが居る通信制高校
発達障害が原因でこころに傷を負ってしまった人もいますよね。
そんな人のためにメンタル面でのケアを専門とするカウンセラーや、臨床心理士、社会福祉士などの資格を持った先生が常駐する通信制高校があります。
日常生活で出てくる、いろいろな不安の相談に乗ってもらえます。
生徒本人だけでなく、保護者の方も相談にのってもらえる通信制高校もあります。
そういう学校は、安心できますね。
2. それぞれのレベルに合わせた学習の支援
発達障害の人の中には、小・中学校のころに不登校になってしまったため、学習の遅れがある人もみられます。
そんな人のために「学び直し」の学習を用意してくれている学校も存在します。
また、集中力が短かかったりムラのある人にもヒントになる、普段の勉強の進め方のアドバイスもしてくれたりします。
カウンセラーや資格をもった先生が、勉強の進み具合などを注意深く見守ってくれ、わからないところを重点的に指導してくれます。
3. 登校が苦手な人に対する、スクーリングのサポート
発達障害を持っている人は、スクーリングが大きな壁となってしまう場合が往々にしてありますよね。でも大丈夫です。
そんな登校が苦手な人にも、カウンセラーが居る学校では、一人一人のケースに合わせて相談に乗ってもらえます。
希望する学校にはスクーリングのサポートをどの辺りまでしてもらえるかなどを、入試前にしっかりと問い合わせおきましょう。
相談に乗ってもらうことで、スクーリングの問題が改善される場合がありますので、まずは、気兼ねなく相談しましょう。
どうしても、通学のペースがに問題がある人に対して、先生が自宅に訪問して授業してくれるサポートも存在します。
4. 勉強だけではなく、精神面や生活面、コミュニケーションについてもサポート
人間関係の構築が苦手で、生徒同士のコミュニケーションに悩む人もいます。
スクーリングや行事の際にお互いに打ち解けあえるように交流を考えてくれている学校も存在します。実際に仲間と会って、仲間と気持ちを共有することで、人間的な成長も期待できます。
そういう意味でスクーリングは、発達障害の人にとってのデメリットばかりではなく、本人のために意義あるものになります。ですので、スクーリングに何を行うのか、どういった狙いがあるのかを事前に知っておくと良いかと思います。
各々にとって、スクーリングに大きなメリットがあるのか、デメリットしかないのかをよく考えてみてほしい点です。
2. 得意な分野を伸ばせる学校
通信制高校の中には、高校卒業過程の主要科目以外に興味のある分野や得意な科目を選択できるが存在します。
例えば、コンピュータやゲーム、アニメ、音楽などを学ぶことが出来るコースを設置している通信制高校もあります。
発達障害を持った人は、「得意、不得意の差がある」場合が多くみられます。不得意な部分があっても、それを上回るくらいに得意なところが突出していたりします。
その特性を見抜き、得意な分野をおおいに伸ばせば、将来につなげることも可能です。
選択肢が多いのは、得意な面や才能を開花させるチャンスと言えます。
3. スクーリングが少なめ、かつスクーリングの内容に配慮している学校
通信制高校には、スクーリングが少なく、なるべく通わないで卒業できる学校もあります。
eラーニング(インターネットを利用した学習形態)や、メールでのサポート、電話でのやり取りを行って学習を進めます。分からないところは、より重点的に教えてもらえます。
スクーリングは発達障害の人にとって、障害の特性上、大きなネックになってしまいます。通学したり、いつもと違う場所はとても大変な思いをしてしまう場面だからです。
もちろん支援によって改善を期待できますが、なるべくなら、最初からそういった大変な思いをする場面が避けられると良いと考えますよね。余計なところに必要以上に気を使わなくても済むからです。
ですが、他の人と対面できる絶好の機会でもあるので、前向きに考えて、なるべく有意義な時間を過ごせると良いですね。生徒同士がおだやかに交流できるように配慮してくれる学校かどうかを見極めましょう。
特にセンシティブな人にとってスクリーングの日数とスクリーングの内容は、外せない条件ですね。
以上の3つのポイントを紹介しました。
このポイントを押さえて、学校選びをしましょう。
発達障害のサポートに期待できる通信制高校5選
発達障害の方のためのサポート体制が充実した通信高校 5選を紹介します。
興学社高等学院
こちらの学校は、「発達凹凸と向き合う人」「こころが疲れてしまった人」「勉強が苦手な人」「自分で好きな授業を選びたい人」といった悩みを抱える生徒たちを支援する【技能連携校】です。
(【技能連携校】とは、普通科目と同時に専門科目を学べる学校。)
次の3つが特徴として挙げられます。
- 好きなこと、得意なことをみつけるためのアプローチ
- 安心して自信をつけていける学校
- 将来のことも考えられている学校
それでは一つ一つを見てみましょう。
1. 好きなこと、得意なことをみつけるためのアプローチ
具体的には、入学時に自分の得意分野が見つかるWISC検査を行っています。
得意分野がみつかったら、今度は約120種類の豊富な授業の中から自分の好きなことや、やりたいことを選びます。
授業の一例をあげますと、ゲーム制作、イラスト、デザイン、モダンアート 、アートセラピー 、ネイル 、ボイトレ、ヨガ、エクササイズ、ファッション、メイク、心理学などなどです。
このように、楽しんで通えるように多彩な授業を用意してくれている学校です。
2. 安心して自信をつけていける学校
「好きなこと、得意なことを見つけて学ぶことで、自分の得意分野をどんどん伸ばしていく」、それは自信になり、さらに自分と同じような仲間を作ることで楽しく生きてゆけることを実感できる、、、といった狙いがあります。
このように発達障害を持つ人への環境の配慮がされているので、安心して学習に打ち込めます。安心して丁寧に学習に打ち込めれば、得意分野が伸ばせます。得意分野が伸ばせれば、自信が付きます。
まず自分自身を受け止めて、適切なサポートを受けることで「自分はおかしいのかな」「なんで自分だけ」といった悩みは、自信へと転じます。
実際、うつ、双極性うつ、統合失調症、強迫性障害、パニック(不安)障害、パーソナリティ障害、睡眠障害などのこころの病気で疲れてしまった人たちも多く在籍します。
生徒たちがゆっくりと自分に向き合う環境が用意されていることは、とても心強いですね。
3. 将来のことも考えられている学校
「高校卒業資格取得率は100%」という数字から、サポートが充実していることが垣間見れます。
発達障害を持った人が学校生活の中で得る「得意分野をのばすこと」や「自分と同じような仲間を得て、楽しさややりがいを持てる事」は、将来へつなげていけますね。
興学社高等学院の所在地:千葉県松戸市
興学社高等学院ホームページ:https://highschool.kohgakusha.com/
明聖高等学校
こちらの学校は、「発達障害がある方も安心して通える通信制高校」と掲げています。
明聖高等学校の4つの特徴は、以下の通りです。
- 個別学習室がある
- 心理カウンセラーが学校に常駐
- 教師もカウンセリングの資格を持っている
- スクーリング日数が少ないWEBコース
では一つ一つを見てみましょう。
1. 個別学習室がある
教室や集団が苦手な人でも、落ち着いて勉強ができます。
普通教室と別に設けられていて、少人数制で学習をサポートしてもらえます。
2. 専門の心理カウンセラーが学校に常駐
いつでも、悩みを相談することができます。
3. 教員もカウンセリングの資格を持っている
生徒の特性を深く理解して、集団生活や学習に関して不安を持っている生徒を支えています。
4. スクーリング日数が少ないWEBコース
WEBコースは、スクーリング日数が年4回程度で自分のペースで学習が進められます。
以上が明聖高等学校の特徴です。どれも、発達障害を持つ人にとって大きなメリットとして挙げられます。
引用:明聖高等学校ウェブサイト
明聖高等学校の所在地:千葉、中野
明聖高等学校ホームページ:https://www.meisei-hs.ac.jp/promotion/
SNEC(スネック) 明蓬館(めいほうかん)高等学校
発達障害の人向けにサポートの篤い学校です。平成25年4月、通信制高校の明蓬館高等学校に特別支援教育コースとして『スペシャルニーズ・エデュケーションセンター(略称SNEC)』が開校しました。
SNEC 明蓬館高等学校のサポートの特徴は、
- 発達障害のサポートスキルを持った支援員と心理師が常駐
- ネット授業がメイン
- 選べる学習のペース
- 登校に困難な人向けのネット(相談登校)コース
の4つが挙げられます。
発達障害のサポートスキルを持った支援員と心理師が常駐
発達障害のサポートスキルを持った支援員と心理師が常駐し、教員、支援員、心理師のチームが発達障害などの課題を持つ生徒のサポートにあたります。
ネット授業がメイン
授業のスタイルはパソコンやタブレットでネット授業を視聴し、レポートに取り組みます。
選べる学習のペース
学習のペース、通学するペースも、生徒自身で自由に決めます。
登校に困難な人向けのネット(相談登校)コース
登校に困難を感じる生徒は、ネット(相談登校)コースでの就学が可能です。
以上にあげた4つの特徴のほかに、提携のサポート校が全国に15校あるのも特徴の一つです。
SNEC 明蓬館高等学校 所在地:東京、神奈川、福岡
SNEC 明蓬館高等学校 ホームページ:https://www.at-mhk.com/style/snec.html
代々木高等学校
代々木高等学校には、発達障害を持った方に、注目の3つの特徴的なコースがあります。
- 発達支援コース
- 大人の学び直しコース
- オルタナティブスクールコース
それでは、一つ一つ見て行きましょう。
発達支援コース
発達障害は見た目ではわかりにくく、年齢とともに変化します。障害を障害と認めてもらうチャンスが無く、怒られてしまう機会が多く自尊心を失いやすい傾向にあります。
そんな発達障害を持った人が周囲と自分自身の理解を深められるように、専門的な知識や働きかけでサポートしています。
このコースでは、社会や友だちとのつながりを大切にしながら一人ひとりに合わせた支援が大切だと考えられています。
大人の学び直しコース
何らかの理由で高校を卒業することが出来なかった、<大人のためのコース>です。
じっくりと学びなおしたい人にピッタリなコースで「高校卒業資格」取得に向けてのサポートをしています。
オプションでニートやひきこもりのためのサポートも用意されています。
オルタナティブスクールコース
代々木高等学校の代表的なコースです。
「窓際のトットちゃん」のような学校をめざしています。
いろいろな仲間といろいろな経験、学習を通じて自分らしさを大切に学校生活を送れるように工夫されています。
学校を楽しみたい人や、学校生活の不安を持っているがしっかりとしたサポートを受けたいと考えている人にとって最適なコースです。
代々木高等学校 所在地:本部は三重、東京、大阪
代々木高等学校 発達支援コース所在地:三重、東京、大阪、兵庫、愛知、岐阜
代々木高等学校 ホームページ:https://yoyogi.ed.jp/
東朋学園高等学校 通信制課程
こちらの学校は、東朋高等専修学校の姉妹校で、2020年4月に開校の新しい学校です。
姉妹校の東朋高等専修高校が掲げている、一人ひとりに合わせたサポート体制がそのまま受け継がれた通信制高校で、発達障害へのサポートが充実しています。
特徴は以下の3つです。
- 登校、学習スタイルをカスタマイズ
- 一人一人に合わせた個別支援や指導計画で単位取得をサポート
- レポート提出、スクーリング、試験などは、校舎内で完結
ひとつひとつ見ていきましょう。
登校、学習スタイルをカスタマイズ
基本、オンライン授業で、画面を通して質問なども出来ます。
気になるスクーリングですが、
- 一般コース:週1日登校または月1~2回集中スクーリング ⇒ 少な目のスクーリング
- カスタマイズコース:週2~4日登校コース ⇒ 一般コースよりも多く学校に行きたい人向け
から選択できます。各々の希望にあわせて選べます。
一人一人に合わせた個別支援や指導計画で単位取得をサポート
卒業には「合計修得単位が74単位以上であること」を条件にしています。
卒業を目標に、先生のサポートも得ながらきちんと計画を立てることで、前向きに学習を進められますね。
レポート提出、スクーリング、試験などは、校舎内で完結
通信制高校の中には、スクーリングを学校とは違う場所で合宿形式でまとめて行うところもあります。環境の変化についていけない人はネックになってしまいますね。
その点、東朋学園高等学校 通信制課程では、いつもの校舎内でレポート提出、スクーリング、試験などはすべて完結しますので、心配が要りません。
入学前個別相談もほぼ毎日行っています。まだ新しい学校ですので不安があれば、直接、電話で問い合わせてみることをおすすめします。
TEL:0120-960-224(受付時間:平日9:00~17:00)
東朋学園高等学校 通信制課程の所在地:大阪市上本町
東朋学園高等学校 通信制課程ホームページ:http://www.okazakitoho.ed.jp/
まとめ
通信制高校は、発達障害を持っていても学べるということが分かりました。
手厚いサポートを行っている通信制高校も多く存在するので、自分にマッチした学校を見つけることが出来れば、安心して通えますね。
学校選びのコツは、各々の特性に合わせて、サポート体制がしっかりした学校かどうかを見極めること。
チェックポイントを押さえて、ぴったりの学校を見つけましょう。
この章では、サポートの充実した通信制高校5校をピックアップしました。「こんな学校もあるんだ!」と参考になれば幸いです。
尚、学校選びの際、心配なことや不明点があれば、学校へ直接問い合わせてみることをおすすめします。
最後に学校選びは、学習環境を整える第一歩ととらえて、余裕を持って焦らずに行いましょう。