現在、何らかの理由で長期欠席している高校生は全国に約10万人います。そのうち、不登校が理由の生徒は過半数の5万人、およそ15人に1人が不登校を経験しています。
不登校は、非常に身近で誰にでも起こりうることなんですね。
この記事では、高校生が不登校になる理由とそれが長期化しないための対策について説明していきます。
目次
高校生が不登校になる理由
不登校には様々な原因がありますが、主な理由としては、
・無気力
・情緒的混乱
・遊びや非行
・いじめを除いた他生徒との人間関係
といったものがあります。具体的な割合は、次の表の通りです。
不登校が続く理由 人数の割合(%) 無気力 27.3 情緒的混乱 25.2 遊び・非行 11.0 人間関係(いじめを除く) 10.9 その他 34.3
引用:国立教育政策研究所
様々な理由が複合的に重なっている場合もありますが、今回はこの上位4つの理由と近年注目されている発達障害について説明します。
無気力
「親との関係が上手くいかない」「親の仕事や兄弟の学校が変わり、家族全体の生活リズムが変わった」など、家庭環境の変化によるストレスが無気力の原因になる場合があります。
また、「入試に頑張りすぎてしまい疲れが抜けない」「理想の学校生活と違った」など、本人の情熱や期待が疲労に変わることもあります。目には見えない心の苦しさが無気力につながる強い理由となることが分かりますね。
情緒的混乱
この理由にも家庭環境が絡んできますが、離婚やリストラなどが親のストレスとなり、その余裕のなさが子どもにも伝わってしまうことがあります。これにより、子どもの不安が増大し情緒不安定になってしまいます。
また、子どもは親に心配をかけたくないという思いから、苦しい思いを隠そうとすることがあります。その苦しみは学力不振や友人関係の悩みと多岐にわたるため、情緒的混乱が起きやすくなるのです。
遊びや非行
今はスマホ1台で、1日中ゲームをすることができます。結果的にゲームに熱中してしまい、学校に行けなくなってしまうことも多いのです。
また、家庭環境も、遊びや非行にも関連してきます。
・家族との仲が悪くなった
・自分の中身ではなくテストの成績などの成果しか見てもらえない
・自分の将来を親が干渉してくる
・親が自分に対し無関心だと感じる
など、子どもは自分の考える、理想の子どもになれない葛藤がストレスとなり遊びや非行に走ってしまうのです。
人間関係
学校生活では、たくさんの悩みが生まれます。学力不振や進路の悩みなどの個人的なものだけでなく、校則や部活動ルールへの反発など周囲との関係不和が不登校の原因になる場合もあります。
また、友人関係のトラブルも含まれることがあります。いじめを除く人間関係を理由とする不登校生徒の割合が10.9%であるのに対し、いじめが理由の不登校生徒の割合は0.4%と少なくなっています。
発達障害
ランキング内にはありませんが、不登校を引き起こす原因として近年注目されているのが、発達障害です。これまで、この発達障害を持つ子どもに対する理解不足が深刻化していました。
発達障害はいくつかの種類に分かれます。多動や衝動性、不注意が目立つADHD(注意欠陥多動性障害)や、読み書きなどが難しいLD(学習障害)が、最近知られるようになりました。
このような発達障害をもつ子どもたちは、授業についていけなかったり、人間関係が上手く構築できないなどの問題が出てくるので、学校生活が辛くなり通えなくなってしまうことがあるのです。
不登校が長期化しないための対策法
親として一日も早く学校に戻したいと思うのは、当然のことだと思います。ここで、不登校を長期化しないための対策法をについて説明します。
不登校への対策ポイントは、大きく分けて3つあります。
・子どもの社会的自立を考える
・周囲と連携する
・はたらきかけること・関わり続けること
それぞれ説明します。
子どもの社会的自立を考える
まずは、子どもが不登校を克服した先の、将来的な自立を考えることが大切になってきます。不登校を単なる心の問題とだけ考えるのではなく、進路の問題として考えることが必要です。
例えば塾に行かせたり、家庭教師をつけることで、学習支援をしてあげてください。
そうすれば、そこで先生と話すことになり、学習だけではなく、就職や進学に関する情報などももらえます。将来の目的が明確になることで、学校へ行くことに理由が生まれ、再び学校へ通えるようになることもあります。
目の前にある問題ではなく、あえて子どもの将来にも視野を広げてゆとりを持って対応することが大事です。
周囲と連携する
不登校の子どもへの対応は課程のみで行うのには限界があります。学校・家庭・地域に助けを求めても良いのです。まずは子どもの状態を正しく把握し、相談してみましょう。
基本的には、通っている学校に相談するのが一番ですが、場合によっては難しいときもあるでしょう。そういう場合、各市町村には、教育相談の窓口があります。電話や面談で相談できますので、そういった場所を是非頼ってみてください。
こんな例もあります。
子どもが不登校になったとき、担任の先生が子どものアルバイト先の店長と連携してくれました。勤務時の様子を共有し、店長から登校を促してもらったことで登校する意欲を取り戻せたようです。(Aさん)
働きかけること・関わり続けること
子どもが不登校になってしまった時、登校できるようになるまでただ待つだけではいけません。子どもを理解しようと関わることや支援を試みるようにしてください。
難しいことを考える必要はありません。食事を一緒にとって話をしたり、挨拶を交わしたり、些細なものでもよいので、何かしらのアクションをすることで、子どもとのつながりを持ち続けること必要です。このつながりさえあれば、子どもからの僅かなSOSや登校を希望する気持ちをキャッチしやすくなります。
また、このつながりは不登校中の生徒の成長や、伸びた個性を発見する手段にもなり得ます。成長や個性に着目することで本人の自信にもつながり、支えることにつながります。
※注意点※
しつこい干渉は、不登校が長期化することがあります。生徒本人との関わりを過剰に意識するなどはせずに、あくまでも見守る姿勢でいることが大切です。
環境を変えるために通信制高校への転入・編入もあり
不登校は、改善を焦っても良い結果にはなかなか結びつきません。しかし、高校生である以上出席日数が足りなければ卒業ができなくなるのも事実です。
学校への復帰が難しいと感じるのであれば、学校環境を一新させることで不登校を解消することを考えてください。その一つの手段が、通信制高校への転入・編入です。
たしかに、通信制高校と言われると親としては抵抗を感じるかもしれませんが、今の通信制高校は昔のものとは違い、様々な事情の生徒が通っています。
中には、全日制よりも進学実績の良い学校もあり、非常に注目を集めています。
実際に、通信制高校に転入することで不登校を解消している子どももいます。
学校に通えない日々が続き、通信制高校への編入を決めました。今は大学進学を目標に、勉強を頑張っています。(Bさん)
https://twitter.com/karuisugoi/status/1115501970301673472?s=20
自分のペースに合わせて学習を進めることができるので、登校に不安がある人や、勉強以外のことも挑戦してみたい人でも高校卒業を目指していけます。
まとめ
今回は、高校生が不登校になる理由とそれが長期化しないための対策について説明しました。
ポイントは、
・高校生が不登校になりやすい理由として「無気力」や「情緒的混乱」などがあること
・それを長期化させない対策法として「生徒の社会的自立」を考えたり「周囲が連携」したりすることが必要
ということです。
私たちの身近にある不登校には、様々な要因が隠れています。その理由をしっかりと分析し、生徒に適切な支援を行っていきましょう。