不登校の子どもが最高学年である場合、卒業式へ出席させるべきか休ませるべきかを悩む人も多いのではないでしょうか。
・出席させた方がいい気がするけど、休んでも良いのか
・欠席の場合、どうすればいいかわからない
・出席を希望する場合、何をすればいいのか
など、複雑な思いがあると思います。そこで今回は、様々な卒業式の形を説明し、不登校の子どもの卒業式について考えていきます。
目次
卒業式は出席するべきなのか
不登校の子どもにとって、学校は出来ることであれば行きたくない場所ですよね。無理やりにでも説得して、卒業式に出席させた方がいいのか、それとも欠席させた方がいいのかを迷う親御さんは多いと思います。
結論を言ってしまうと、卒業式は休んで良いんです。公立の小・中学校は1日も通学しなかったとしても卒業することができます。実際、不登校の子は、卒業式は欠席していることが多いです。
https://twitter.com/krakiramirai/status/1221747542850850816?s=20
学校側は体裁を保つために、卒業式への出席を勧めてくれると思いますが、子どもにとっては学校に行くことが苦痛でしかないという場合が多いのです。
もちろん、子どもの晴れの舞台を見たいと思うのは親として当たり前のことですよね。しかし、卒業式に無理やり出席させたところで、良い思い出が残るわけではありません。
反対に子どもの心と身体に学校へ行くという苦痛を強いることになり、さらに子どもが引きこもる可能性があるので注意が必要です。
不登校生徒の卒業式に対する感想
不登校であったとしても、卒業式への出席を選択した子どもたちもいます。ここでは、そのような元不登校生徒や今不登校の子どもたちについて紹介します。
卒業式に出席した生徒
卒業式に出席した人の中で、出席して良かったという声は3割程度でした。
卒業式に出席した感想 割合 出席して良かった 32% 欠席すれば良かった 24% どちらとも言えない 44%
引用 【公開】不登校と卒業式 本人たちはどう思った? 80人の感想を抜粋
出席して良かったという人と、欠席すれば良かったという人の割合はあまり大差がありませんね。つまり、無理に出席しても嫌な思いや辛い思いをする人もいるということが分かります。
もちろん、出席に意味があったという人がいることも事実ですが、子どもが出たくない場合は行かせないことを考えた方が良いでしょう。
出席したことで、今までの区切りがついた気がしました。また、苦しい時間を終えられたことを実感できたのは良かったと思います。(Aさん)
卒業式には参加しましたが、傷つけられた記憶が蘇って苦しくなってしまいました。(Bさん)
卒業式に欠席した生徒
次に、卒業式を欠席した人の感想を見ていきましょう。
卒業式を欠席した感想 割合 欠席して良かった 80% 出席すれば良かった 7% どちらとも言えない 13%
引用【公開】不登校と卒業式 本人たちはどう思った? 80人の感想を抜粋
このデータから、不登校の子どもにとっては卒業式を欠席することが良い場合が多いということが分かります。出席しなかったことで後悔している人が7%と非常に少ないのです。
子どもが卒業式への参加に消極的だった場合は、いつものように家で落ち着いた時間を過ごさせてあげることが良いでしょう。
出席をすることでより辛くなってしまっていた思うので、式の欠席は自分にとっての最善策だったと思います。 (Cさん)
もし出席していたら、不登校を選んだ自分を否定する気持ちになってしまうと思い欠席しました。(Dさん)
出にくい場合はこんな方法も?不登校生徒の色々な卒業式
たしかに、親としては卒業証書くらいは、もらってほしいですよね。
しかし、ご安心ください。先ほども説明した通り、不登校で卒業式を欠席する子でも、卒業証書をもらうことができます。
具体的な受け取り方法は以下の5つです。
・別室で卒業式をする
・先生に家まで卒業証書を届けてもらう
・保護者が学校に卒業証書をとりに行く
・卒業証書を郵送してもらう
・卒業式に保護者席で参加する
それぞれ、解説していきます。
別室で卒業式をする
卒業式当日や後日に、保健室や校長室などの別室で卒業証書を受け取ります。一人だけの場合もあれば、病気などで他に卒業式を欠席した子どもと一緒の場合もあります。
証書を受け取るだけの学校もあれば、卒業式の形をとって数名の教師の前で証書を受け取る学校もあるので、子どもの負担にならない形式かどうかを事前に学校側へ確認してください。
https://twitter.com/2020kotonton/status/1264766230348435461
先生に家まで卒業証書を届けてもらう
子どもを学校に行かせることを避け、安心できる自宅で卒業証書を受け取ることも可能です。自宅なので式のように長々と時間を割くことはありません。
クラスのメンバーと会うのは嫌だけど、先生なら問題ないのであれば、この方法で卒業証書を受け取るのもよいでしょう。
ただ、逆に先生とあまり会いたくない場合は、避けた方がよいでしょう。
保護者が学校に卒業証書を取りに行く
子どもが卒業式への参加も、教師たちとも対面も難しい場合、保護者のみで学校に出向き子どもの卒業証書を受け取ることもできます。実際に、インフルエンザなどで欠席し長期間体調が優れない子どもは、親が代わりに証書を取りに行くことがあります。
ですので、保護者だけで子どもの卒業証書をもらうことをためらうことはありません。
卒業証書を郵送してもらう
子どもも保護者も直接卒業証書を受け取れない場合は、郵送で届けてもらうことができる学校もあります。ですので、郵送を希望する場合は学校側に問い合わせてみてください。
郵送だと学校との直接のやりとりを避けられるので、子どもの負担が軽減するのと同時に親御さんの負担も少なくなります。郵送を選択することは悪いことではないので、ぜひ選択肢に入れてみてください。
卒業式に保護者席で参加する
卒業式は大きく、生徒席と保護者席に分かれます。急に不登校の子どもが同級生に囲まれた状態になることが想像できない人も多いかと思います。子ども自身も、これを不安に感じるでしょう。
子どもに卒業式へ出席したいという気持ちがあっても、このような不安がある場合には、保護者席に子どもを待機させるという手段もあります。これにより、卒業式を見届けることや実際に証書の授与を受けることが可能です。
もし卒業式へ参加する場合の注意点とは?
ここまでで卒業式に参加する必要はないということが、分かっていただけたと思います。しかし、子どもの気持ちというのは分からないもので、今まで行きたくないと言っていても、急に参加すると言い出すこともあります。
https://twitter.com/vOiglXy65myT3OB/status/1104858046281314304?s=20
参加自体は悪いことではないので、参加したいのであればもちろん参加させてあげて良いと思います。ただし、不登校の場合、卒業式の練習ができないため、他のこと同じように参加するのが難しい場合もあります。最後に、不登校の子がどのように卒業式出席への準備を整えるかを紹介します。
式の内容について相談する
卒業式では、起立や着席のタイミングを合わせるために子どもたちが練習することになります。しかし、不登校の子どもは学校に行くことができないので、この練習に参加することが難しい場合が多いです。
その際は、他の子どもたちと同じ動きをしなくてもいいかを学校側に確認してみるのもありです。座ったままでもいいのか、立つときは遅れてもいいかなど、子どもが当日不安なまま式に出席することにならないように、相談してみることが大切です。
自宅で歌の練習をする
卒業式では、卒業生が合唱を行うことがほとんどです。式のために何日か前から練習の時間を設けます。しかし、不登校の子どもは通学していない期間が多いと校歌さえも覚えられていないことがあります。
式で自分だけ歌えないという状況になってしまうと、子どもはその場に居づらくなることもあるかと思います。その時は、事前に学校から歌の楽譜や音源を借り、自宅で練習していくこともできるので、自宅での歌練習も選択肢に入れておきましょう。
個別に歌の指導を受ける
自宅で歌の練習をしても分からないことが出できたり、個別でだったら練習できそうだと子どもが感じたりした場合には、学校で個別に歌の指導を受けることも考えてみてください。
これは学校との相談が必要ですが、卒業式に出席したいという子どもの意欲を潰さないために協力してくれる学校もあると思います。遠慮せずに、学校に問い合わせてみてください。
まとめ
ここまで、不登校の子どもの卒業式の出欠について説明してきました。まず第一に考えるべきことは「子どもの気持ちを最優先に」ということです。
・出席したくなかったら出席しなくてもいい。
・卒業証書を受け取る方法は、たくさんある。
ということをご理解していただけたかと思います。卒業式への出欠を考えることが、不登校の子どもにとっては負担になるということを感じられましたよね。ですので、本人が望む方法で卒業を迎えられるようにサポートする姿勢でいることを心がけていきましょう。