当たり前のように高校に通っていた子どもからいきなり「高校を辞めたい」って相談されたら、保護者の方は不安になりますよね。
ましてや今の時代、高校は卒業して当たり前と思われていますので、
「高校を中退したら将来就職できないのでは」
「高校を中退して成功した人なんているのか」
などの疑問が出てくるではないかと思います。
そこで今回は、高校を中退したいと思っている方やその保護者の方に向けて、
・高校を中退したいと思っている人がどれくらいいるのか
・実際に高校を中退したい人の進路
などについて、詳しく解説していきます。
目次
高校を中退したい人は意外と多い?具体的な数字を使って解説
保護者の方からしてみれば、高校を中退したいなんて考える自分の子どもは特殊なのではないかと考えてしまうかもしれません。
しかし、結論を言えば、高校を中退したいという考えは、決して特別なことではありません。
文部科学省の調査によれば、平成30年度の高校中退者数は4万8,594人、高校中退率は1.4%にもなります。
つまり、高校に入学した人の100人に1人は高校を中退していることになります。
また、実際に退学という選択をしていなくても、「中退したい」という声は、SNSで日常茶飯事に書き込みされています。
https://twitter.com/AyaReiEVA00/status/1353680294302294018
このことからも、中退したいと考えること自体は、決しておかしいことではないと言うことがわかります。
高校を中退したい理由はいじめとは限らない
そもそもなぜ中退したいのかご紹介します。
中退の理由は人によってさまざまですが、「いじめ」などの人間関係が原因とは限りません。
文部科学省のデータを見ると、中退の理由は以下の通りです。
事由 | 人数 | 割合 |
進路変更 | 17,155人 | 35.3% |
---|---|---|
学校生活・学業不適応 | 16,622人 | 34.2% |
学業不振 | 3,771人 | 7.8% |
病気、けが、死亡 | 2,107人 | 4.3% |
家庭の事情 | 2,054人 | 4.2% |
問題行動等 | 1,826人 | 3.8% |
経済的理由 | 988人 | 2.0% |
その他の理由 | 4,071人 | 8.4% |
引用:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果
最も多いのは進路変更、次いで学校生活・学業不適応です。
今は、多種多様な生き方がある時代ですので、必ずしも普通科の高校で自分のやりたいことが実現できるとは限りません。
つまり、高校を中退したいと考える原因が、精神的な苦痛とは限らないと言うことです。
高校を中退した後No.1の進路は○○!
たしかに保護者としては、中退した後にちゃんと就職できるのかどうかは心配ですよね。
では、ここからは実際に高校を中退した人の進路を見ていきましょう。
2011年の内閣府の高等学校中途退学者の意識に関する調査によれば、中退後の進路は以下の通りとなっています。
現在していること | 割合 |
働いている | 52.6% |
在学中 | 30.8% |
仕事を探している | 13.6% |
家事・家事手伝い | 11.0% |
その他 | 7.0 % |
妊娠中・育児 | 5.4% |
何もしていない | 4.0% |
そうなんです、中退後の進路で最も多いのが“働いている”で、約50%です。
つまり、学校を辞めた人の2人に1人は就職していることになります。
たしかに数字だけ見てしまうと、就職するのはそこまで難しくないように感じてしまいますが、ここにはカラクリがあります。
なんと就職をしている人数のうち、75%程度がフリーター・パートの雇用形態で働いています。
正社員なのはわずか17%です。
実際に高校を中退したことを後悔している人もいます。
高校中退してるけど中退考えてる人に相談されたら基本やめるなっていいますね……
— 慢性腱鞘炎 (@0DivideError) May 25, 2021
就職できている人いが多いからといって、安易な気持ちで中退するのは後悔につながる可能性が高いと思っておいてください。
高校中退後に後悔しないための進路を紹介
中退後の進路からも分かるとおり、明確な目標がある場合をのぞいて、安易な気持ちで高校を中退するのはリスクが高いことが分かったと思います。
とはいえ、いきたくない高校に無理に通い続けることが必ずしも正解とは限りませんよね。
そこで、考えたいのが他の高校への編入です。
編入をすれば、通学する日数は増えてしまいますが、高卒の資格を取得することができます。
高卒の資格を取得すれば、就職の幅が広がることはもちろん、大学や専門学校への進学も可能となります。
[st-kaiwa-12]なるほどね、編入という手もあるのね。でも、転入ってどんな高校でもできるものなの?
結論を言えば、どんな高校でも転入は可能です。
ただし、学校形態によって、転入のしやすさは異なります。
そこで、ここでは
・全日制高校
・定時制高校
・通信制高校
への転入について、それぞれ解説していきます。
全日制高校
まずは全日制の高校への転入についてです。
結論を言うと、全日制への転入はオススメしません。
理由としては、
・学力試験がある
・募集している学校が少ない
です。
まず、全日制高校に転入するには必ず学力試験があります。
この学力試験ですが、編入生にとっては難易度が高めの傾向にあります。
例えば、東京都の編入学試験の内容は次の通りです。
学力検査の科目等
各学校で定めますが、原則として、国語、数学、英語及び面接を行います。
学力試験を突破するには一定の学力がないと合格は難しいでしょう。
また、全日制高校で編入生の受け入れをしている学校はごくわずかです。
次の表は東京都の転入、編入試験の実施結果です。
学年 | 募集人数 | 受験人数 | 合格人数 | 合格率 |
1学年 | 915 | 176 | 73 | 41.4% |
2学年 | 2.228 | 64 | 28 | 43.8% |
3学年 | 2.438 | 4 | 2 | 50% |
合計 | 5.581 | 244 | 103 | 42.4% |
見てわかるように合格率は42%ほどしかありません。
募集校が少ない中、半分以上の人は落ちてしまう結果となっています。
全日制への編入はかなり難しいと考えてください。
定時制高校
次に定時制高校へ転入する方法です。
全日制と同様学力試験と面接がありますが、全日制よりは比較的簡単な内容です。
しかし、定時制高校は夕方~夜間に登校しないといけない場合が多く、今までの生活スタイルが大きく変わってしまう可能性があります。
入学のハードルは低いですが、昼間の時間が空いてしまい、生活リズムを崩してしまう生徒が多いのも事実です。
通信制高校
最後に通信制高校への編入方法です。
結論から言うと、中退後に通信制高校へ転入するのは、最もオススメの進路です。
通信制高校への編入は書類選考や面接が一般的で、難しい学力試験などはありません。
合格できる可能性はかなり高いと言えます。
また、登校スタイルも自分で選択できる場合が多いのも特徴です。
自宅学習をしながら月に数回の登校するコースや、全日制と同じように毎日登校するコースなど、個人に合わせて選択できます。
さらに、ほとんどの学校で単位制が導入されています。
必要単位を修得すれば卒業要件を満たせるので、自分のペースで学習できます。
高校を中退してしまった人でも通いやすく、大学進学や社会復帰する人もいます。
精神面で退学してしまった人にも通いやすく、受け入れてくれる体制が整っています。
https://twitter.com/pinkarakirikiri/status/1397561904055296004?s=20
まとめ
今回は高校中退後の進路、中退したい人の理由について解説してきました。
まとめると、
・高校を中退したいと思っている人は意外と多い
・高校を中退後は就職している人が多いが、その多くが非正規雇用である
・高校を中退しても編入することは可能
となります。
高校を中退後の進路も色々あるので慎重に考え、自分に合った選択をしてください。