さまざまな理由から高校を中退してしまい、高卒認定試験に合格した場合、“高卒認定”の資格が取得できます。
とはいえ、多くの人が高卒資格を取得しており、高卒認定の資格を取得している人は少ないため、
「高卒認定って高卒資格と何が違うの?」
と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
高卒認定と高卒資格って違うんだぜ???
学ぶことばかりだわ— ほめこ (@g_home04) February 2, 2021
そこで今回は、
・“高卒資格”と“高卒認定”の違い
・“高卒資格”と“高卒認定”の進学や就職の有利不利について
・“高卒資格”と“高卒認定”どちらを取得した方が良いのか
などについて、解説していきます。
目次
“高卒資格”と“高卒認定”の違いは?
ではさっそく、“高卒資格”と“高卒認定”の違いについて解説していきます。
たしかに名前のも似ているし、そこまで大きな違いはないのではと思うかもしれません。
しかし、結論を言うと、“高卒資格”と“高卒認定”はまったく別物です。
ここでは、それぞれの違いについて解説していきます。
まずそれぞれの正式名称を確認します。
“高卒資格”の正式名称は「高等学校卒業資格」です。
“高卒認定”の正規名称は「高等学校卒業程度認定試験」です。
正式名称を比べるとなんとなくわかるかもしれませんが、“高卒資格”は全日制、定時制、通信制のいずれかの高等学校を卒業した、という資格になります。
それに対して“高卒認定”は「高等学校を卒業した者と同等以上の学力がある」とみなされる資格になります。
では、さらに細かい違いを
・在籍
・単位
・行事
の3つの観点からチェックしていきます。
在籍
中学を卒業してから多くの皆さんが取得している“高卒資格”については、在籍について、
・3年以上在籍
という決まりがあります。
つまり、現状の日本制度では“高卒資格”が最短で取得できるのは18歳となります。
それに対して“高卒認定”には在籍に関する決まりはありません。
ですので、中学校さえ卒業していれば、その後何歳でも取得可能です。
ただし、ここが少し複雑なのですが、法律上“高卒認定”の資格の効力は18歳にならなければ発揮されません。
ですので、仮に16歳で資格を取得したとしても、実際にその資格を利用できるのは18歳になってからとなりますので、ご注意ください。
単位
単位について、“高卒資格”取得の条件は、
・74単位以上を取得
となっております。
つまり、1年間で25単位取得できれば、3年間での卒業が可能ということになります。
それに対して、“高卒認定”には単位を取得するという概念がありません。
“高卒認定”は授業は一切受講しなかったとしても、試験に合格すれば資格を取得することができます。
受験科目数は、その状況によって異なりますが、多くの方が全14科目の中から8~10科目を選択して受験しています。
科目数は多いように感じるかもしれませんが、内容としては中学~高校1年生で学習する範囲とされているので、高卒資格を取得するよりは簡単に合格を目指せるといえます。
行事
これは意外と知られていないことが多いのですが、高卒資格を取得するためには行事への参加も必須となります。
その条件は、
・文化祭、体育祭等といった学校の特別活動を30時間以上参加
です。
つまり、“高卒資格”を取得するのであれば、勉強以外の部分でも活動が必要になるということです。
“高卒資格”と“高卒認定”費用の違いは?
保護者の方からすれば、“高卒資格”と“高卒認定”で費用面に関する違いも気になるところですよね。
結論から言えば、“高卒資格”と“高卒認定”は費用面でも大きな違いがあります。
ここでは“高卒資格”と“高卒認定”の学費についてそれぞれ解説していきます。
高卒資格
“高卒資格”を取得するためには、
・全日制高校
・定時制高校
・通信制高校
のいずれかに入学し、卒業する必要があります。
そしてそれぞれの高校に3年間以上在学した場合にかかる学費は次の通りです。
全日制公立高校 | 平均137万円 |
全日制私立高校 | 平均290万円 |
定時制公立高校 | 平均137万円 |
定時制私立高校 | 平均290万円 |
通信制公立高校 | 平均15万円 |
通信制私立高校 | 平均70万円 |
定時制高校の学費ついては、明確な数字は発表されていませんが、基本的には全日制高校と大きな違いはないと言われています。
また、通信制私立高校については、サポート校の利用の有無など、条件によって学費が大きく異なる場合があるので、ご注意ください。
ただいずれにせよ、通信制公立高校を除けば、それなりの学費がかかることは事実でしょう。
ただし、所得状況によって、文部科学省の「高等学校等修学支援金」に申請することが可能なので、実際はさらに学費を抑えることができる世帯が圧倒的に多いです。
高卒認定
“高卒認定”の場合は、必ず発生する費用は受験費用のみです。
そしてその受験費用は科目数によって変わり、次の通りです。
7科目以上 | 8,500円 |
4~6科目 | 6,500円 |
1~3科目 | 4,500円 |
そうなんです、“高卒認定”は資格の取得を目指す分には“高卒資格”と比べて圧倒的に低コストで取得することができます。
もちろん現実的には学習するために、参考書等を購入したり、状況によっては通信講座を利用したりすると思いますので、もう少し費用は発生しますが、それでもかなり安く取得できる資格であることは、間違いありません。
“高卒資格”と“高卒認定”どっちが有利なの?
たしかにいくら安くし資格が取得できるからといって、進学や就職が不利になるのでは、あまり意味のない資格となってしまいますよね。
では、ここからは“高卒資格”と“高卒認定”の有利不利について、
・進学
・就職
の観点からそれぞれ解説していきます。
進学
結論から言うと、大学や専門学校への進学については、“高卒資格”と“高卒認定”において有利不利はあまりありません。
どちらの資格であっても、十分進学を目指すことが可能です。
長男が16歳で高認を取り、18歳になるのを待って、大学受験しました。
息子が学びたい学部(大学)には飛び級制度はなく、結局同級生と同じ年に受験しました。
飛び級入学の出来る大学は日本ではまだ少ないようですね。大学の学びはとても楽しいようです✨ https://t.co/LBZ7PgNhsn— まん丸 (@ayczQw9tGbkSUG3) June 13, 2021
ですので、進学を目指すのであれば、“高卒資格”と“高卒認定”のどちらを所得しても良いでしょう。
ただし、“高卒認定”においては、一つだけ不利になることがあります。
それは、推薦入試が受験できないことです。
実は近年の大学進学者のうち47%の生徒が推薦で進学しています。
推薦入試は、学校側が求める条件を満たしていることで受験が可能ですが、そのほとんどが高校に在学していなければ達成できないものです。
つまり、“高卒認定”しか取得していない場合は、必然的に一般入試を受験するしかなくなります。
また、2022年度より高校の学習指導料が改定され、それに伴い大学入試も変更される可能性があります。
その場合、“高卒認定”を取得している生徒の進学が不利になる可能性があるので、注意が必要です。
就職
結論を言うと、就職の場合には“高卒資格”よりも“高卒認定”の方が不利になる可能性が高いです。
というのも、“高卒資格”はは高等学校を卒業したものに与えられる資格なので、最終学歴は「高卒」になります。
それに対して、“高卒認定”あくまでも高等学校卒業と同程度の学力がある資格になので、最終学歴は「中卒」です。
つまり、応募条件が「高卒以上」となっている求人には応募ができない可能性が高いのです。
実際、文部科学省の令和2年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況」の取りまとめによると、高校新卒者の求人倍率は2.07倍に対し、中学新卒者の求人倍率は0.75倍と低く、求人自体がそんなに多くはありません。
このことからも、“高卒認定”は就職においては不利になる可能性が高いことがわかります。
ただし、最近では国が
「高卒認定は、高卒資格と同等の資格である」
と呼びかけをしてくれているため、高卒認定を高校卒業と同等と判断してくれる企業も増えてきています。
ですので、応募条件に「高卒以上」と記載されている企業でも、採用してもらえる可能性はあります。
とはいえ、その場合はいちいち企業に確認する必要がありますし、面接に高卒資格を取得している人が同時に来れば、当然そちらの方が優先されるでしょう。
やはり、就職に関しては“高卒資格”を取得している人の方が圧倒的に有利と思って間違いありません。
結局“高卒資格”と“高卒認定”どちらの取得を目指した方が良いの?
ここまで“高卒認定”と“高卒資格”の違いについて具体的に解説していきましたが、
「結局どちらを取得した方が良いの?」
と疑問ももったままの方もいるかもしれません。
そこで最後に、“高卒認定”と“高卒資格”どちらの資格を取得した方が良いかについて、お伝えします。
結論を言えば、“高卒資格”の取得を目指した方が良いです。
たしかに“高卒認定”の方が費用は圧倒的に安く、進学においても大きく不利になることはありません。
しかし、一部の有名大学を除けば推薦入試の割合がどんどん増えている現状で、その入試を受験できないのは大学進学の可能性を大きく下げてしまいます。
また、現在は多くの学校が大学入試に関するノウハウを持っており、高校に通う全ての子どもたちが効率的な学習をしています。
つまり、独学で学習をすることは、それだけで圧倒的に不利な状況となってしまうことが多いのです。
この点からも進学を目指すのであればなおさら、高卒資格の取得のために高等学校に入学した方が良いと言えます。
高校を中退してしまった場合、もう一度全日制や定時制高校に入学することは難しいかもしれません。
しかし、通信制高校であれば、十分入学が可能です。
通信制高校の場合、ほぼ全て学校が単位制をとっているため、学年という枠がありません。
また入試も常時行っている学校が多いため、いつでも入学可能であることも特徴です。
たしかに公立の通信制高校では大学進学は難しいかもしれません。
しかし、私立の通信制高校であれば、十分可能です。
例えば、N高等学校は通信制高校でありながら抜群の大学進学実績を残しています。
https://twitter.com/wonderfulmiyu/status/1357443198927294466?s=20
私立の通信制高校は、通信制でありながら担任制をとっている学校があるなど、学習面や生活面でかなり手厚くサポートをしてくれます。
そして、大学進学に関するノウハウもあるため、意欲さえあれば、十分大学進学を目指すことができる環境が準備されています。
いずれにせよ、色々な選択肢を得るためにも、あらかじめ「卒業資格」を取得しておく方がオススメします。
まとめ
今回は、“高卒認定”と“高卒資格”の違いについて、解説していきました。
まとめると、
・“高卒資格”は、高等学校を卒業した人が取得できる資格である
・“高卒認定”は、高等学校を卒業したものと同程度の学力があることを証明する資格である
・費用面では“高卒資格”よりも“高卒認定”の方が圧倒的に安く取得できる
・総合的に見ると、“高卒認定”よりも“高卒資格”を取得しておいた方が良い
となります。
高校を中退してしまった方や、高校へ通学することが困難になってしまった場合でも、上記で説明した通り、通信制高校などで「高卒資格」は取得可能です。
将来、自分がより良い選択をできるためにも、是非「高卒資格」を取得できる方法を探してみてください。