高校に通うことが難しくなり、仕方なく中退してしまった場合、高卒認定試験の合格を目指すことが選択肢の一つになるでしょう。
しかし、高卒認定試験を受験したことがある人はあまりいないため、
「高卒認定試験って難しいんじゃないの?」
「高卒認定試験の合格率ってどれくらい?」
「高卒認定試験ってどれくらい費用がかかるの?」
といった疑問が出てくるのではないかと思います。
そこでこの記事では、
・高卒認定試験の難易度
・高卒認定試験の合格率
・高卒認定試験の費用
などについて、解説していきます。
目次
そもそも高卒認定試験って何?
そもそも高卒認定試験が何かわからない人もいると思いますので、最初に簡単に説明しておきます。
”高卒認定試験”は正式名称を高等学校卒業程度認定試験と言います。
正式名称からもなんとなくイメージがつくかもしれませんが、この試験は合格することで「あなたには高校を卒業した程度の学力があります」と証明してくれます。
逆に言えば、学力があることしか証明してくれないため、その他のことは一切認めてくれません。
つまり、高卒認定試験は、
・高校を受験できなかった。
・高校を中退してしまった。
という特別な理由がある方が、「高卒の人と同じくらい学力はあるよ!」ということをアピールするために受験する資格となります。
たしかに学力があることをアピールしたところでどんなメリットがあるのかと考えてしまいますよね。
結論を言うと、高卒認定試験に合格することで、大学や専門学校などの上級学校を受験することが可能となります。
ですので、高卒認定試験は、
「今さら高校には通いたくないけど、大学・専門学校には進学したい。」
と考えている方が取得を目指す資格と考えることができます。
しかし、裏を返せば大学や専門学校などへの進学を考えていない人が取得してもあまり意味のない資格とも言えます。
というのも、高卒認定試験はあくまで資格なので、合格したとしても学歴にはなりません。
つまり、大学や専門学校などへ進学しなければ、もしくは進学してもそこを中退してしまえば、学歴は「中卒」のままです。
https://twitter.com/lVcE1g388EwRttI/status/1405665340000935941?s=20
ですので、進学を考えていない人は高卒認定試験を取得することはオススメしません。
高卒認定試験の難易度について
たしかに大学や専門学校への進学を前提にした試験であることを考えると、かなり難易度の高い試験ではないのかと思われるかもしれません。
しかし、結論を言えば、高卒認定試験の難易度は低いです。
高卒認定試験に合格しました。
試験の難易度自体は簡単ですが自力でこの先の進路を考えて合格し、大学受験を受験できるステージに立てたことを素直に嬉しく思います。
そしてこんな自分を応援し、支えてくれた友達には感謝しかありません。
本当にありがとうございました!
大学受験頑張ります! pic.twitter.com/jl2qmUX53U— ちゅーた (@6S0H3) August 30, 2018
まず、高卒認定試験の出題範囲は基本的に中学〜高校1年生までの学習内容となっています。
高校の学習が本格的に難しくなるのは高校2年生からなので(進学校は除く)、この時点で高卒認定試験はかなり易しい試験と考えることができます。
また、試験範囲だけではなく、合格点が低いことも特徴です。
高卒認定試験の最低必要な点数は、おおよそ40点/100点くらいとなっています。
その年の試験内容によって各科目の合格点は多少異なることもありますが、それでも各科目45~50点くらいとればほぼ確実に合格できます。
たしかに、試験であることを考えると合格点数はちょっと低いように感じますよね。
しかし、高卒認定試験は受験者が不合格になることを前提としておりません。
ですので、極論を言えば全員が合格になっても問題はないのです。
むしろ、「将来日本の社会において活躍する人材を増やしたい。」という思いで試験が実際されているため、全員に合格してほしいと言う願いがあります。
そのため、試験の合格率もギリギリまで下げているのです。
もちろんギリギリの点数でも合格は可能ですが、高得点を目指している人のために評価制度が導入されています。
具体的な評価方法は次の通りです。
評価
|
A
|
B
|
C
|
点数 | 100〜80点 | 79〜60点 | 59〜最低ライン |
評価が高ければ高いほど、大学に出願した際に評価されるので、目指せる人は高得点を目指してみてください。
科目合格制度もある
たしかにいくら何度が低いとはいっても、高校を中退してしまった人が高卒認定試験に合格するためには、8科目〜10科目に合格しなければならないため、一気に合格するのは難しいと感じる人もいると思います。
しかし、ご安心ください。
高卒認定試験には各科目ごとに”科目合格”という制度があります。
この制度は一度合格した科目は、次回以降の受験からは、免除されるというものです。
つまり、必ずしも1回で全ての教科に合格する必要はありません。
中には、戦略的に最初から科目数を分けて受験している人もいます。
高認の合格率40%未満で難しくなってます! みたいなツイート見ると事実だが詐欺だなって気分になる。そもそも全員が、一発合格目指して受けてるわけじゃないし、何回かに分ける人もいるし。高校の単位認定のために1科目だけとかって受け方してる人いるんだから格率40%切りますよそりゃあ。
— 佑 (@yuimarl_miffy) September 4, 2013
このように複数回に分けて受験ができるということからも、高卒認定試験の難易度は易しいと言えるでしょう。
高卒認定試験の合格率は?
難易度が低ければ合格率は高いと考えるのが当然ですよね。
では、高卒認定試験の合格率が実際にどれくらいなのかを確認していきましょう・
先に合格率の数字をお伝えすると、高卒認定試験の合格率は3〜4割ほどです。「
数字だけ聞いてしまうと、「全然簡単じゃない!」と思ってしまう人が多いでしょう。
しかし、これについてはカラクリがあります。
というのも、この合格率は、”全科目に合格した人の割合”であり、科目合格者はカウントされていません。
先ほども説明した通り、戦略的に複数回に分けて受験している人もたくさんいるので、それを加味すると合格率が下がるのは当然のことなのです。
残念ながら、細かい数字は公表されていないため、正確な数字はわかりませんが、令和2年第1回高卒認定試験について、次のような数字が発表されています。
年度 | 受験者数 | ー | |||||
1科目以上合格した者 | 高卒認定試験合格者 | 高卒認定試験合格者以外の 一部科目合格者 | |||||
人 | 人 | % | 人 | % | 人 | % | |
R2第1回 | 8,098 | 7,419 | 91.6 | 3,737 | 46.1 | 3,682 | 45.5 |
表を見ての通り、合格率は4割ほどですが、1科目以上合格している人の割合は9割をこえています。
このことから、受験した人の9割以上の人が最低でも1科目は受験に合格していることがわかります。
合格率は決して低くないと考えて問題ありません。
ただ、全科目に合格している人が3割〜4割しかいないということは、一気に合格することは難しいと判断することもできます。
高卒認定試験の合格を目指すのであれば、複数回に分けて全ての教科に合格することを考えた方が良いでしょう。
高卒認定試験にかかる費用について
保護者の方であれば、高卒認定試験を受験するにあたって、費用も気になってきますよね。
ここからは、具体的な費用について解説していきます。
まず、かかる必要について大きく分けると次の2つです。
・受験にかかる費用
・勉強にかかる費用
それぞれ解説していきます。
受験にかかる費用
高卒認定試験の受験費用は、大きく3つに分けられます。
受験科目数 | 受験料 |
3科目以下 | 4,500円 |
4~6科目 | 6,500円 |
7科目以上 | 8,500円 |
上記の費用が、1回の受験ごとにかかります。
先ほど戦略的に複数回に分けて受験するとお伝えしましたが、2回に分ければ2回分、3回に分ければ3回分の費用がかかります。
仮に3回受験したとしても、全日制高校の学費と比べれば圧倒的に安いので、学習状況に応じて、受験回数を決定してください。
勉強にかかる費用
受験料については、受ける科目数による違いはあるにしても、全員が同程度の金額となります。
しかし、勉強にかかる費用については、その方法によって大きく異なります。
今回は特に多い3通りの学習方法について、その費用を比較していきましょう。
それぞれの費用は次の通りです。
勉強法 | 独学 | 通信講座 | 予備校 |
費用「年間」 | 約3~5万円 | 約20~40万円 | 約60~85万円 |
内訳 | 教材代(問題集・参考書) | 教材費・入学費 | 全科目受講の場合 |
科目数によって違いがあるかもしれませんが、やはり予備校などの施設を使ってしまうと。かなりの費用がかかってきます。
とはいえ、自力で学習するのが難しいと言うのであれば、そういった施設を使わないと合格は難しいでしょう。
予備校に通わせてまで高卒認定試験の合格を目指すべし?
さきほど、高卒認定試験の勉強方法は費用だけで判断しない方が良いとお伝えしました。
もちろんそれはその通りなのですが、現実問題として「高卒認定試験に合格させるためだけに60万円払って予備校に入れた方が良いの?」と思う人もいるのではないかと思います。
そして筆者としても、60万円払って予備校に入れるのはもったいないと思います。
もし本当に自分で勉強ができない子であるならば、予備校に通わせるのではなく、私立の通信制高校に入学させることをオススメします。
通信制高校は国が認める立派な高等学校なので、卒業するだけで“高卒認定”ではなく、“高卒資格”が取得できます。
高卒資格が取得できれば当然大学や専門学校へ進学することが可能となります。
通信制高校と聞くと、保護者の方にとってはあまり良いイメージがないかもしれません。
しかし、最近の私立の通信制高校は全日制高校と同じかそれ以上に面倒見が良いと言われています。
https://twitter.com/jynnskyshyk/status/1280458781005017088?s=20
ですので、一度学校を辞めた生徒であっても安心して学習できる環境が整っています。
費用についても、高卒認定試験に合格するために予備校に行くのと同じくらいの金額で入学でいる学校もあります。
同じ学費を使うのであれば、高卒資格が取得できて、面倒もしっかりみてもらえる通信制高校に入学した方よよっぽど良いと言えます。
予備校に通うことを検討する前に、通信制高校への入学を検討してみてください。
まとめ
今回この記事では、”高卒認定試験”の難易度、合格率、費用について解説していきました。
まとめると、
・”科目合格”という制度があり、自分の学習進捗度で受験できるため、難易度は低い。
・合格率は低いが、これは全科目合格した人の割合なので、あまり気にしなくて良い。
・高卒認定試験の受験料は定額だが、勉強するための費用はその方法によって異なる。
・予備校に通って高卒認定試験への合格を目指すくらいなら、通信制高校に入学して“高卒資格”の取得を目指した方が良い。
となります。
高卒認定試験は決して難しい試験ではありません。
夢を叶えるために受験したいと考えているのであれば、合格を目指して頑張ってください。