高校を中退してしまった場合、高卒認定試験への合格を目指すという選択をする場合もあるでしょう。
とはいえ、高卒認定試験を受ける人はあまり多くないため、
「高卒認定試験を取得しても、高卒よりも就職は不利になるのでは?」
と疑問を感じる人も多いのではないでしょうか。
そこで、ここでは、
・高卒認定試験は高卒よりも就職で不利になるのか
・高卒認定試験が高卒よりも不利になる具体的な例
・高卒認定試験が就職の時に不利にならないための方法
について詳しく解説しています。
目次
高卒認定試験は就職で不利になる?
さっそく結論を言うと、現在は高卒認知試験合格者を高卒よりも不利に扱う企業は減ってきています。
というのも、国が「高卒認定試験は高卒と同じですよ」と呼びかけを行っています。
国が言うことは企業側も無視できないため、その通りに高卒認定試験を高卒と同程度と認める企業が増えています。
それは次のグラフからも明らかです。
引用:高等学校卒業程度認定試験合格者の企業等における扱いに関する調査の結果について:文部科学省
このグラフを見て分かるように、高卒認定試験に合格した人を「高卒と認めない」と回答している企業や地方自治体は、ごく僅かです。
多くの企業や地方自治体が、「高卒と同等」又は「学歴で差をつけていない、決めていない」と回答しているのです。
しかし、注意点があります。
それは、高卒認定試験に合格しても、高校を卒業したことにはならないと言うことです。
いくら高卒認定試験を高卒と同じように扱ってくれるとはいえ、履歴書では中卒としてしか記載ができません。
そして、高卒認定試験の合格者は高校を卒業した人よりも圧倒的に学力が劣ることは事実なので、残念ながら差別を受ける場合もあるようです。
高認は推薦受けられないし,今でも差別されがち
— にーこちゃん (@lolimilk_twins) December 24, 2020
高卒認定試験が就職で不利になる3つの状況
たしかに高卒認定試験を高卒を同じように扱う企業が増えているのにも関わらず、就職では不利になる可能性があると言われても、イメージがしにくい場合も多いですよね。
では、ここからはもう少し具体的に、どんな時に高卒認定試験が不利に扱われるかについて解説していきます。
具体的には、次のようなときに高卒認定試験は不利に扱われる可能性があります。
・学歴を重視するような大企業に就職する場合
・高卒認定試験に合格したが、大学・短大や専門学校に進学していない場合
・高校を卒業した人とどちらを採用するか迷われたとき
ひとつずつ解説していきます。
学歴を重視するような大企業に就職する場合
最近は、学歴よりもスキルや協調性を重視する企業がかなり増えてきてると言われています。
とは言っても学歴を重視する企業の方がまだまだ多いのが事実です。
特に一般的になの知れているような企業の場合は、学歴を重視していたり最終学歴だけでなくその前の学歴も見られることが高いです。
ですので、高卒認定試験の場合、それなりに有名な企業への就職は難しいと考えた方が良いでしょう。
大学や専門学校などに進学していない場合
有名企業でなかったとしても、多くの企業が最終学歴を最も重要視します。
高卒認定試験を受験し、合格して、大学・短大や専門学校に進学していればそこしかみない企業が多いのですが、大学・短大や専門学校に進学せずそのまま就職となると、最終学歴が中卒となってしまうため、どうしても目立ってしまいます。
そもそも高卒認定試験は、2004年までは大学入学資格検定(通称:大検)という名称でした。
名称からも分かるように、元々は高校を卒業していない人でも大学・短大や専門学校に進めるように国が作った国家試験です。
つまり、採用側からしてみれば高卒認定試験を受験している人は大学や専門学校に進学しているのが当たり前と思っている人がいるのも事実です。
ですので、高卒認定試験を受験し合格しても、その後大学・短大や専門学校に進学していない場合、あまり良い印象を持たれない可能性があります。
高校を卒業している人とどちらを採用するか迷われたとき
就職面接の際、スキルなどは同じレベルの二人がいて、企業側はどちらを採用しようか迷っているとします。
唯一の差が、高校卒業した人か、高卒認定試験に合格した人か、採用するのはどちらか一人。
こうなった場合、高校を卒業している人が採用されることが多いでしょう。
ですので、「高卒の人よりも自分は仕事ができる!」ということをアピールできるよう準備し、それを伝えることがとても重要になっていきます。
高卒認定試験で就職が不利にならないための方法
ここまで、高卒認定試験が不利に扱われる可能性があることについて解説していきました。
では、不利に扱われないようにするための方法はないのかと言うと、そんなことはありません。
就職試験で不利にならないようにするための方法はあります。
具体的には次の2つです。
・採用面接でアピールする
・高卒資格取得を目指す
それぞれ解説していきます。
採用面接でアピールする
先程も少し述べたように、最近は人材育成のコストを削減するために、学歴よりもスキルや協調性を重視する企業がかなり増えてきています。
自分の努力やこれまでの経緯をアピールすることで、協調性が認められれば採用される可能性はあります。
そしてそれをアピールできる場面は、採用面接です。
採用面接を受けられることが決まったら、その面接に向けて全力で準備をしましょう。
まず、高卒認定試験を受験している場合、なぜ高校を卒業しなかったのか、なぜ高卒認定試験を受験したのか、面接時に聞かれる可能性が高いです。
その際に、どのように答えるかがとても重要です。
ポイントは“ポジティブ”です。
やむを得なく退学した場合は、そのことを説明しましょう。
不登校や単位不足など、自分が原因で退学してしまった場合は、一度は諦めてしまったけどやり直したくて、高卒認定試験を受験した、など、前向きな気持ちを伝えましょう。
高校を卒業していないからといって、諦めてしまったらそこで終わりです。
高校を卒業していなくても、高卒認定試験に合格した人は、少しでも「やり直したい」という前向きな気持ちがあったからだと思います。
その前向きな気持ちや考えと、やる気があるということを全力で伝えましょう。
また、「この会社で働きたい!」というような入社意欲もアピールできるように、事前に面接する会社のことをしっかりとリサーチしておくと良いですね。
高卒資格取得を目指す
とはいえ、そもそも学歴が中卒となってしまっている場合、そもそも書類選考の時点で落とされてしまう可能せがあるのも事実でしょう。
そこで考えるのが高卒資格の取得です。
たしかに、一度中退してしまった人がもう一度全日制や定時制の高校に入ってやり直すと言うのは難しいことかもしれません。
しかし、私立の通信制高校であればそのハードルは一気に下がります。
私立の通信制高校の場合は単位制を導入している高校がほとんどのため、学年という概念が存在しません。
ですので、年下の生徒と一緒に授業を受けなければならないといった精神的苦痛はありません。
また、通信制高校であれば、学校に通うのが難しくても、年に数回のスクーリング以外は自宅で学習しながら単位を取得できます。
中3で起立性調節障害に罹患した娘は通っていた中高一貫校の高校への進学をせずに自宅学習のできる通信制高校を選択
今日は通っていた中高の文化祭(まだ卒業して2ヶ月半だけど)懐かしい!と遊びに行きました
今の学校が楽しいから後悔はないと笑顔で出かけた彼女は少し大人に見えました^ ^— 金子友紀 (@yukitakeuchi010) June 15, 2019
海外の研究でも、高卒資格を取得している人としていない人は将来の年収や就職率に大きな差が出るという結果がでています。
学校は、学力の向上だけでなく、非認知能力の向上にも役立つことが科学的に証明されている。ノーベル賞を受賞したヘックマン教授の研究によると、高校を卒業した人と高卒認定試験の合格者では、将来の年収や就職率に大きな差が出たのである。これは学校に行く意味があるということを言っている。
— 教育パパですが、何か? (@gajumal48) May 6, 2021
どのタイミングでも入学することができて、高卒資格を取得できるという点では、通信制高校への入学は決して悪くはないでしょう。
通信制高校って聞くと「お金で単位を買うところ!」というイメージを持つ方もいるようですが、実際はそんなことありません。
学費は、全日制の高校に3年間通うのと同じ程度で済むところもたくさんあります。
もちろん、アルバイトなどをしながら学校に通っている生徒もたくさんいますので、どうしても学費が難しい場合は、働きながら通うこともできます。
中学は半年しか行かず、都立チャレンジ高校は1ヶ月で行かなくなり通信制高校へ転学した次男の現在は、週3日の塾とアルバイトが二本柱の生活となっている。中学時代から今も気持ちは安定していて、通信制高校に対する負い目も感じておらず、明るい未来しか見えないとおちゃらけて本人は言う。
— あくび (@akubihakushon) March 17, 2021
まとめ
ここまで、高卒認定試験だと就職が不利に扱われてしまうのか、不利にならないためにはどうしたらよいのか、などについて解説していきました。
まとめると、
・高卒認定試験に合格した人を高卒として認めない企業は約3%しかない
・高卒認定試験を受験し合格し、その後大学・短大や専門学校に進学していれば不利になる可能性は低い
・就職で不利にならないためには面接が重要
・高卒資格取得が一番確実
となります。
高卒認定試験という資格自体が、最近徐々に浸透してきており、差別化もされづらくなってきているのは事実です。
しかし、まだ必ずしも知られているわけではなく、高校卒業と同等の資格とはいえ、高校を卒業しているほうがどうしてもイメージは良くなってしまいます。
もし迷っている状況であれば、高校を卒業する道も検討してみてください。