高校進学はしたいけど、集団が苦手で他人と行動できない。体調が悪くて登校するのは難しい、仕事や家庭の事情など、さまざまな理由で通信制高校を選択する人が増えているようです。
ですが、通信制高校でも、スクーリングといって登校して授業を受けなければならない時間があります。
そのため、スクーリングに行けずに悩んでいる方も多いようです。
・スクーリングが必要なことは分かっているけど、どうしても行けない。行きたくない。
・行かないとダメだと、思えば思うほど行けない。
・スクーリングの日が近づいてくると頭痛、腹痛、吐き気、めまいなどに襲われる。
など、症状は人それぞれですが、とても辛いですね。
そこで、通信制高校のスクーリングについて
・スクーリングは、必ず受けなければならないの?
・スクーリングに行かない方法はある?
・もし、スクーリングに行けなかったらどうなるの?
・スクーリングに行けない時の対策
など、少しでも苦痛を和らげる方法など、スクーリングについて解説します。
目次
通信制高校のスクーリングの内容は?
通信制高校を卒業するためには、3つの条件がありますが、その中に各教科や科目ごとに決められた74単位以上の取得と30単位以上の特別活動のスクーリングの取得があります。
30単位以上のスクーリング特別活動には、学校により違いがありますが、ホームルーム、文化祭、体育祭、修学旅行、校外活動、三者面談、職業体験など、学校行事が主な内容です。
このように、スクーリングは必ず受けなければなりません。
スクーリングの単位を取得するには、学校によりさまざまな内容があります。
・年に1回、4日~1週間程度、学校に登校して行う集中スクーリング
・年に1回、2泊3日~3泊4日宿泊して行う合宿スクーリング
・週5日、4日、2日、又は月に2回~4回通う通学型のスクーリング
一般的には、1教科に対しスクーリングは年間で大体1~4単位を取得しなければなりません。また体育や芸術などの実技を伴う科目は、4~5単位程度の取得が必要です。
ですが最近では、ネット教材などを利用してさまざまな方法でスクーリングを減らすことをしている学校もあります。
できるだけ通学したくない、通学できない人のために、色々な方法で授業単位を補い年に1、2回だけの集中型や合宿型のスクーリングで、卒業までの単位を取得できるようにプログラムしているようです。
また、通学型でもスクーリングに通う時間もさまざまです。
その日、自分に必要な教科単位に出席したら帰っていいなど、通いやすいように工夫されている場合もあります。また、教師と1対1で面談を行う方法もあります。
場所もいろいろで本部の学校や学習センター、その他宿泊施設などで行います。
通信制高校のスクーリングに行かなかったらどうなる?
通信制高校の卒業条件の規定にあるように、やはりスクーリングの単位を取得しなければ卒業できません。
ですから、スクーリングに行けなければ最悪の場合退学になってしまいます。
ですが、学校によっては行けなかった理由を担当の教師と話し合い、振替などをして調整してもらうことができる場合があります。
また、全日制高校では各学年で取得する授業や試験があり、出席日数の不足や赤点などの成績により進級できない、いわゆる留年がありますが、通信制高校には学年という概念がないので留年がありません。
ですから、もし3年間で決められた単位を取得できなければ、引き続き継続して単位を取得することで卒業できます。
通信制高校のスクーリングに行けない時にまず出来ること!
スクーリングを必ず取得しなければ卒業できない事はわかったけれど、それでも登校するのが難しければどうしたらいいでしょう。
まず、できることを考えてみましょう。
・スクーリングに行けないことを担当教師に伝え相談しましょう。
・スクーリングの少ないコースに変更できないか確認しましょう。
・卒業までに必要な、取得できていない単位を調べ、今後の計画を見直しましょう。
・スクーリングの開始時間や時間数の変更、振り替えなどの調整をしましょう。
・自分だけで行動するのはたいへんです。親や担当教師、相談センターなどに助けを求めましょう。
・学校に行けない原因を見つけて対策を考えましょう。
・肉体的な症状があるのであれば、専門医に受診しましょう。
このように対策することで、退学になることはなくなりますし、卒業までの時間を少しでも無駄にしなくて済みます。
スクーリングに行くための対策法
取りあえずスクーリングに行けない対策はしたけれど、やはり行かなければ3年間で卒業することができなくなります。
卒業が延びると費用もかかりますし、できればこれ以上年数を増やしたくはありませんよね。
そこで、少しでもスクーリングに行ける方法はないか考えてみましょう。
まず、自分はどうしてスクーリングに行きたくないのか考えて、その原因を取り除くことができたらいいですね。
例1)対人関係などのトラブルはありませんか。自分に合わない人もいれば合う人もいる。嫌いな人、苦手な人がいて当然です。人に合わせる必要などありません。自分が疲れない程度の距離を持って接しましょう。
例2)無気力に陥っていませんか。そこで無理をしてもなかなか前に進むことができません。まずゆっくり、ゆっくり休んでください。そして自然と何かしたいと思えるようになったら少しづつ活動しましょう。少し元気になったら生活リズムを整えて、いきなりスクーリングに行くというのではなく、ショッピングを楽しんだり、家の掃除や手伝いをするなどメリハリある生活をして社会との接点を増やしていきましょう。
例3)勉強が嫌いで成績が延びず投げ出してしまいたいと思っていませんか。それで学校に行けないのであれば、学力を伸ばすのみです。勉強してるのに成績が延びない方は、勉強のやり方に問題があるのかもしれません。または、自分には分からない身体的な障害があるのかもしれません。学校に相談しサポートしてもらいましょう。
例4)親の顔色をみたり、常にいい子でいよう、親に心配や迷惑をかけない、がっかりさせないようにしよう、などと考えていませんか。まず自分自身を認め、心の負担を取り除きましょう。そして、スクーリングに行けない対処法を感情を抜きに考えます。感情が先になると現状が見えて来なかったり、間違った思い込みをしてしまうことがあります。まず冷静に登校できなくなった、登校したくない理由を言葉にしてみましょう。
きっかけは、些細なことでも一度登校できない経験をすると、そこから元に戻るにはかなりの時間がかかります。
心の傷は簡単には治りません。ですから焦ったり無理をすると悪化することも多いです。
そんな時は、一時休学するという手段も考えてみてください。
スクーリングの少ない学校
それでもやはり苦手な方には、スクーリングの少ない学校の方が負担が減ると思うのでいくつかご紹介します。
これから高校を探す方はもちろん、全日制から転入を考えている方も参考にしてください。
・ルネサンス高等学校
メディカル学習を取り入れ、最短年3泊4日のスクーリングで単位取得が可能です。
履修している科目の授業は、少人数もしくは、1対1で先生から直接指導を受けられます。
なので、気軽に自分の分からないところや困っていることなども先生に聞くことができます。
・NHK学園高等学校
ネット学習Do Itコースでは、アーカイブ映像による、ポイントをしっかりおさえた分かりやすい授業を視聴することで、学力を身に付けることができます。
それによりスクーリングの時間を減らし、1年次の登校日数は試験日を含めて6日~10日間です。
また、「総合教育相談センター」があるので気軽に相談できます。
スクーリング会場は、北海道、東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州・沖縄にあるので、自分の住まいからも行きやすくなっています。
・第一学園高等学校
年に1回、在籍する本校でのスクーリングに参加します。入学時期や履修単位数により日数は違います。
教科の授業の他、特別活動も行います。
不安にならないように事前ガイダンスを行い、相談できる引率の先生も着きます。
・N高等学校
ネットコースでは、ネット学習と年間5日程度のスクーリングで、沖縄での宿泊タイプと宿泊なしのコースがあります。
学習以外にも、ネットによるコミュニケーションツールを使って日本各地の仲間と繋がることができます。
全国19のキャンパスがあり、全国からでも通いやすくなっています。
・一ツ葉高等学校
通学ゼロコースでのスクーリングは、年間4日間からとなっています。スクーリングに参加が難しい方は相談にのってくれます。
レポートは、主にeラーニングを使用し分かりやすくなっており、分からない問題などはメールや電話でもサポートしています。
学校により、一つの校舎にいくつもコースがある場合も多いので自分にあったコースを選びましょう。
紹介したのは私立高校ですが、通信制高校には公立もあります。費用の面では公立が安くていいですが、スクーリングの日時や期間の柔軟な対応はやはり私立がいいようです。
一つ注意して頂きたいのは、スクーリングが苦手だからと始めから回数の少ないコースを選択すると、普段は快適ですがいざスクーリングに行くとなると、そのハードルはかなり高いものになるでしょう。
それに比べて週1~2日など定期的に通学するコースですと、休んでもその後の取り戻しがしやすく、少しずつ慣れていく可能性もあるので、始めから最短日数の集中コースにする時はよく考えて、途中でコース変更できるかも確認しておくといいでしょう。
スクーリングに行けない時の最終手段!
なかなかスクーリングには行けないけど、勉強することは抵抗がなく、高校卒業後は大学や専門学校に進学を考えている方もいませんか。
その場合、通信制高校の単位取得のことだけを目標にするのではなく高卒認定試験を受ける方法もあります。
高卒認定試験は、高校を卒業した資格とは違いますが、高校を卒業した人と同等以上の学力があることを認め、合格すると大学、短大、専門学校を受験する資格が得られます。
高卒認定試験を受けるには、試験日の年度の終わりまでに満16歳以上であれば受験可能です。また、通信制高校や全日制高等学校、高専等に在籍されている方でも受験することができます。
試験は、年に2回(8月と11月)行われ、8~10科目が必修科目となっていますが、高校在籍中に単位を取得している科目があれば、一部科目が免除される場合もあります。
受験会場は、各都道府県に1カ所設定されているので、受験しやすい場所を選ぶといいでしょう。
試験内容も、比較的簡単と言われており、合否は科目ごとに分かれているので、合格した科目は次の試験で受けなくていいようになっています。
このような方法があることも、是非知っておいてください。
自分はどうしたいのか。卒業資格を取るために学校に在学しているのか?卒業したらどうするのか?親の言いなりになっているだけではないのか?よく考えてみてください。
まとめ
通信制高校のスクーリングについて
・スクーリングをしないで卒業することはできないこと
・スクーリングには、色々な方法があること
・スクーリングの少ない学校があること
・スクーリングに行けない原因を知り、無理はよくないこと
・自分にあったスクーリングの方法を選択することが大切であること
などを紹介しました。
スクーリングは、挫折を防いだり友達ができたりと悪いことばかりではありません。
社会に慣れていくための一つの手段でもあります。
無理することはありませんが、社会の中に自分の居場所を見つけてください。
スクーリングを上手に利用しましょう。