親ならば、高3生の息子や娘に学校辞めたいって言われたら焦りますよね。ここまできたら高卒の資格だけはとらせいと考えるのが、普通でしょう。
とはいえ、
「通信制高校には高3から編入できるの?」
「前の学校での単位は引き継げるの?」
「みんなと同じように3月に卒業できるの?」
「高3から編入するときの学費はどのくらい?」
このような疑問を持っている人が多いのではないかと思います。
高3から編入することはできるのか、単位の引き継ぎはできるのか、卒業時期はどうなるのか、学費はどのくらいになるのかなど、通信制高校への編入を視野に入れている多くの人が持つ疑問についてここでは詳しく解説していきます。
高3で退学しても編入することはできる
おそらく、「高3は卒業年次だし、この時期から編入はできないのかな...」と不安に思っている人が多いと思います。
しかし、そんな心配はいりません。
結論から言うと、高3で退学しても編入することはできます。
厳密言うと、通信制高校は学年がないため、もし通信制高校へ編入するなら「高3という学年に編入」という形ではなく、「その通信制高校へ編入する」という形になります。
なので、疑問の答えとしては「前の学校では高3まで進級したが、退学した人」でも通信制高校への編入は可能ということです。
そして、通信制高校は学年制ではなく単位制です。
なので、編入後卒業に必要な単位を取得すれば高校を卒業することができます。
それでは次に気になる単位の引き継ぎについて見ていきましょう。
単位の引き継ぎは可能
通信制高校への編入を考えている人は、高卒資格を取得することが目的という人が大半だと思います。
となると、やはり気になるのは単位の問題でしょう。
せっかく前の学校で取得した分の単位ですから、編入先の学校に引き継ぎたいですよね。
ここでは、「前の学校で取得した単位は引き継ぐことができるの?」という疑問に対して回答していきます。
こちらの疑問に対する回答ですが、前の学校で取得した単位は引き継ぐことができます。
しかし、単位の引き継ぎに関して注意しなければいけない点があります。
それは、在籍していた高校で1年間履修していた授業は単位の引き継ぎは可能ですが、学年の途中まで履修していた授業は単位の引き継ぎはできないという点です。
つまり、1年間丸々授業を履修していた授業分の単位は認められます。しかし、1年を経過せず退学をしてしまった時に、その退学した学年で履修した授業分の単位は認められません。
多くの全日制高校では学年制を採用しているため、単位を取得できるのは進級の時です。1年を通して、授業に出席し、テストを受け、合格することで単位を取得し、次の学年に上がれるようになっています。
学年の途中で退学した場合、その学年で退学するまでに履修した授業分の単位が認めれられないのはそのためです。
なので、「前の学校では高3まで進級したけど、退学した人」に関しては、高2までの取得した単位は認められますが、高3に進級して以降に履修した単位は認められません。
そして、前の学校で途中まで履修していた授業については、通信制高校に編入後に再度履修する必要があります。
ちなみに、高校に在籍した状態のまま、通信制高校へ入学する転入は俗に言う「転校」と同じくくりなので、出席日数や取得した単位はそのまま引き継がれます。
3月に卒業はほとんどできない
次に卒業時期について詳しく見ていきましょう。
前の学校では高3で卒業を控えた学年だったわけですから、当時のクラスメートや同級生は翌年3月に卒業しますよね。
そこで、前の全日制高校を退学し、これから通信制高校へ編入を考えている人は「いつ卒業できるの?」「みんなと同じように3月に卒業できるの?」と疑問に感じていると思います。
しかし残念ながら、通信制高校へ編入すると、3月に卒業することは非常に難しいです。
高校の卒業資格を得るためには、法律で3年間以上の在籍期間が必要であると定められています。それは、全日制高校も通信制高校も同様です。
通信制高校へ編入した後は、前の学校での在籍期間を含めて3年以上在籍することでこの条件を満たすことができますが、編入を考えている人は前の学校を退学済みの人が多いと思います。
そのような人は、退学後から編入するまでの間の空白期間が存在していることになります。
どの学校にも属していない空白期間があると、その分高校に在籍しなければいけない期間は伸びてしまうわけです。
なので、残念ながら前の同級生と同じように3月に卒業するということは、よほど編入のタイミングがよ良くないかぎりは難しいでしょう。
言い換えると、編入学する時期が遅れれば遅れるほど卒業する時期も遅れてしまうということです。
ここは気をつけなければいけない点ですのでしっかりと理解しておきましょう。
さらに注意しないといけない点として、通信制高校に編入できる時期というのは限定されているケースがあるということです。
転入学は随時受け付けが行われているケースが大半ですが、編入学はそうではありません。
4月または10月から編入できるという学校が多くあります。中には随時編入学を受け付けているという学校もありますが、編入できる時期は学校によって異なるので、気になる高校がある人は調べてみましょう。
高3で退学後、通信制高校へ編入する場合の学費は?
次に通信制高校へ編入した後に支払う学費について見ていきます。
学費は取得する単位数によって変わってきます。また、編入する先の通信制高校が公立か私立かによって学費は大きく変化します。
例えば、前の学校を高3で退学し、私立の通信制高校へ編入する場合の学費はどうなるのでしょうか。
高3で前の学校を退学した場合、おおよそ卒業に必要な単位は14単位ほどになります。
ここでは、編入後、残り14単位取らなければいけない場合を想定して目安の費用を計算してみます。
また、ここでは私立の通信制高校を想定して計算しますので、1単位あたりの値段は私立の平均授業料の8千円とします。
すると年間の授業料は、8千円/単位 × 14単位 = 11万2千円ということになります。
それに加えて、入学金が1〜5万円、施設料・行事費が3〜10万円かかることを考えると、年間約15万2千円〜26万2千円ほどかかってくる計算になります。
これは授業料を1単位あたり8千円と仮定した場合での金額なので、全ての学校がこの金額に当てはまるわけではありません。また、前に在籍していた学校によって、取得した単位数も変わってくるので、あくまで目安として参考にしていただけたらと思います。
また、学校によっては、割引制度を設けている学校もあります。場合によっては、入学金や施設料・行事費が割引になるケースもあるようです。
編入のやり方は?
たしかに、編入って面倒な気がしちゃいますよね。最後に具体的にどのように編入するのか、編入に必要な書類や入試形態について解説していきます。
編入に必要な書類
まずは、編入するにあたり必要な書類をご紹介します。
編入に必要な書類は成績証明書と単位取得証明書です。
これらの書類は在籍していた学校に申請して取得する必要があります。
申請する際は事務室か退学した時の担任に連絡しましょう。
そのほか、自分で用意しなければいけないのは、証明写真、入学願書、受験料の振り込み申請書などが一般的です。
証明写真は学校によっては複数枚必要な場合があるので、余裕ある枚数を準備しておきましょう。
また、入学願書は、学校案内や資料を取り寄せると同封されていることがよくあります。資料には入試の手順や準備することが詳しく書かれているので、気になる学校がある人はぜひ一度取り寄せてみましょう。
入試形態
次に、編入の際の入試形態をご紹介します。
通信制高校の編入学試験は、ほとんどの学校では学力試験は行われません。
基本的には書類選考と面接のみです。
この書類選考のために入学願書を提出します。
入学願書は、住所や氏名、志望動機、前の学校を退学した理由等を記入します。
「書類『選考』だから落ちることもあるのかな...」と心配する人もいるかもしれませんが、安心してください。
通信制高校の入試において不合格となることはほとんどありません。
書類選考の次は面接がありますが、合格する場合がほとんどですので、あまり緊張しすぎることなく、面接に臨んでください。
面接で聞かれる内容は、「なぜこの学校を選んだか」や、「退学した高校はどんな様子だったか」「なぜ退学したのか」といったことをよく聞かれます。
書類選考と同じく、面接でも難しい質問はないので、自分のことをそのまま面接官に伝えてあげてください。
また、面接形態は、個人面接の学校もあればグループ面接の学校もあるようです。
さらに、個人面接の学校は保護者同伴のケースもあります。
面接方法は学校によって異なりますが、いずれの場合もほとんど合格します。
「この学校で学び、卒業したい」という意思をしっかり伝えることができれば大丈夫です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
高3で全日制高校を退学して、通信制高校へ編入したい場合のポイントをおさらいしましょう。
・高3で退学しても通信制高校に編入することはできる
・前の学校で取得した単位の引き継ぎは可能。ただし、退学した学年で履修した分の単位は認められない
・退学後から編入するまでには空白期間があるため、3年での卒業はほとんどできない
・高3で退学して通信制高校に編入した場合の学費は、取得する単位数や授業料によって変わってくる
この記事ではこれらの項目について解説しました。
今回は高3で退学して通信制高校に編入する場合について解説しましたが、どのタイミング、どの高校に編入するにしても早めの情報収集や相談が大切です。
特に編入は、入学が遅れれば遅れるほど卒業も遅れてしまいます。
事前に情報収集はしっかりと行い、あとは学校の個別相談会等へ参加し、わからないことや不安に思っていることを相談しましょう。