通信制高等学校に通われている方で、卒業後大学や専門学校に進学を考えている方、または就職する人もいるでしょう。
どちらにしても、色々なことに不安を感じているのではないでしょうか。
その不安の一つに、学校から出される調査書にどんなことが書かれるのか心配になりませんか。
「通信制高校出身では、全日制に比べて進学や就職は不利なのかな?」
「通信制高校の調査書は、悪いことも書かれるのではないだろうか?」
「通信制高校の調査書は、欠席日数など厳しく書かれるのではないのか?」
など、とても気になりますね。
そこでこの記事では、通信制高等学校に在学している方に向け
・調査書には、どんなことを書くのか?
・進学や就職によって調査書は違うのか?
・全日制や定時制の調査書と比べて通信制は違うのか?
などを詳しくご紹介します。
安心して進学や就職するための参考にしてください。
目次
調査書ってなに?
調査書とは、進学や就職をする時に必要な生徒の高校生活の評価や様子を記載したもので、内申書とも言われています。また、各教科の成績を評価して点数化したものが内申点です。
進学や就職する上での選考資料になります。
進学先や就職先により違いはありますが、願書の他に調査書の提出を求められます。ただ、必ず求められるとは限りません。
また、特に大学などでは、調査書より試験の結果が重視されますので、調査書が直接合否を左右するものではないようです。
通常、在学している学校の先生が学習態度や学校生活での様子を記入し、進学先や就職先へ郵送します。
1校又は1企業に1通必要です。
大学のAO入試や推薦入試にはもちろん、一般入試にも調査書が出されます。
通信制高校の調査書にはどんな事が書かれるの?
では、実際にどんなことが書かれるのか見てみましょう。
学校により多少違いはあるようですが、だいたい内容は同じなので参考にしてください。
調査書の内容について
・内申点:各教科の評価(1~3年) 評定の合計
・出欠の記録:欠席日数 主な欠席理由
・総合的な学習の記録
・特別活動の記録
・行動の記録:生活習慣、明朗快活、自主自立、向上心、責任感、創意工夫、思いやり、協力性 など
・総合所見や指導上参考になる諸事項
・取得した資格
基本的に、犯罪歴や素行などで本人が不利になることは記入しません。
ただ、出席停止は記入されますので、長期欠席や休学の記載があると詮索されたり面接の際に聞かれたりするでしょう。
学校としては、みなさんに進学や就職が決まって欲しいですから、できるだけ悪いことは書きたくありません、ですが嘘は書けません。
もし、在学中に問題があったことを隠して進学や就職したものの、後になってそれが発覚したら、学校への不信感からのちにその学校の生徒は取ってもらえない、という可能性も出てくるので、そこは慎重に記入しているようです。
通信制高校の調査書は、全日制や定時制と同じ?
通信制高校に通われている方の中には、これまでも何かと全日制との違いで将来不利になるのではないかと悩まれてきた方も多いのではないでしょうか。
そのため、「通信制」との表記がどんな書類に記載されるのか気になりますね。
では、調査書はどうでしょう。
全日制、定時制、通信制と記載する箇所が設けられていますので、間違いなく通信制であることは記載されます。
ですが、他の内容については変わりません。
最近では、通信制高校を卒業する苦労や努力が周知されてきており、通信制だからといって引け目を感じたり将来不利になることは想像以上に少ないようです。
ですから、通信制高校だからと悲観することはありません。また、全日制には負けないと頑張って来た方は評価も高いと思われます。
調査書には、通信制であることは記載されますが、通常履歴書には、全日制や通信制の記載を求められることはありません。ただ普通科と書くことのみ稀にあります。
卒業する時にもらう卒業証書にも特に通信制と記述することはないようです。
調査書の欠席日数、在籍年数はどうなの?
全日制と違い通信制では、コースにより出席日数が違いますから調査書にどのように記載されるかとても気になりますね。
通信制高校に通われ、卒業又は卒業見込みとされている方は、必要単位数が取得できているということですから、欠席日数を気にすることはありません。
欠席日数の記載は、学校により記入の仕方に違いはあるようですが、決められている出席日数いわゆるスクーリングの時間数が取れているのであれば、欠席日数は0になります。
また、在籍年数は、入学時の年月日と卒業又は卒業見込みの年月日の記載がありますので、何年間在籍していたかは分かるようになっています。
調査書に記載される細かい内容で心配なことがあれば、担当教師に聞いて悩みを解消しておくといいでしょう。
悩んだまま試験にチャレンジしても本領発揮できません。通信制でたくさんの生徒を卒業に導いた教師は不安な気持ちをわかってくれることでしょう。
また、相談と一緒に自分の得意分野や取得した資格などをアピールして、是非調査書に書いてもらうといいでしょう。
調査書を発行してもらう注意点!
調査書の内容がわかった所で発行してもらうための手順や注意点をみてみましょう。
まず、調査書の発行にはお金がかかります。公立の場合は無料が多いようですが、私立の通信制の場合、1通につき300円~500円かかります。金額は学校により違いますので確認しておきましょう。
その他、発行してもらう際に気を付けなければならないことがあります。
注意ポイント
・調査書は、早めに多めに申し込むこと。
・調査書は、高校卒業後5年経過すると発行してもらえない。
とても重要なので詳しく見てみましょう。
調査書は、早めに多めに申し込むこと
調査書は、一人が数校又は数社に出すことを考えると、発行する高校にとってかなりの負担になります。まして生徒数が多い場合は、作成するのに何日も時間がかかります。
ですから、早めに学校にお願いしておかなければなりません。最悪の場合締め切りまでに間に合わなくなるので十分注意してください。
また調査書の提出は、1校又は1社につき1通ですので、自分が受ける数だけ出してもらおうと考えますが、進学や就職の結果により他を受け直すなど、急に必要になるかもしれませんので多めに出してもらいましょう。
調査書は、高校卒業後5年経過すると発行してもらえない。
実は、文部省の生徒指導要録により、在籍していた出席簿などの記録については20年間の保存期間がありますが、成績などの記録については保存期間が5年間と決められています。
ですから、その期間が過ぎたものは破棄されてしまいます。
このように成績などの記録が5年間しか残っていませんので、調査書の発行も高校卒業後5年経過すると発行できなくなります。
そこで、数年以上の浪人や社会人から再受験する場合などは注意が必要です。その場合は、代わりになる書類の提出を求められるようですからご確認ください。
また申し込みの際、調査書には発行年月日が記載されますので、「発行より3カ月以内のもの」と指定がある場合は注意が必要です。
調査書は、どのくらい重視されるの?
では、次に調査書がどのくらい合否に関わるのでしょうか。
大学入試の場合
大学へ進学する方の調査書は、センター試験廃止と共に2021年度入試から様式が変更され記載する情報量が増加される予定です。
そうすることにより試験の成績だけではなく、生徒の特性や個性、高校生活での学習や活動などを広く評価して合否判定したい意向のようです。
ですが、増加する情報量をどのように合否判定資料として活用するかは定められておらず、調査書を有効活用するには、まだ時間がかかりそうです。
これまでの一般入試の場合は、試験の結果が一番重要で調査書の影響はほとんどないと言われていましたが、今後は調査書がどのくらい活用されるか様子を見ていかなければなりません。
それにより、通信制高校であることが有利に評価される場合もあるかもしれませんね。進路指導の先生の話や報道などに耳を傾けていきましょう。
ただ、AO入試や推薦入試の場合、調査書は合否を判定する大切な資料ですから、それは今後も変わりないでしょう。
また、卒業に必要な出席日数や欠席日数を確認する資料としては今まで通りだと思われるので、単位数や出席日数が足りているか注意し日頃から欠席しないようにすることが望ましいでしょう。
就職の場合
就職先により提出書類はさまざまですが、卒業証明書を求められることが多く、調査書の提出は必ず求められるものではないようです。
ただし、逆に提出を求められた場合、企業によっては試験より重視することがあるようです。
評定が高いことや取得した資格、高校での積極的な活動などが有利に働くことは間違いありませんので、日ごろから努力しておくといいでしょう。
まとめ
通信制高校が発行する調査書がどのようなものか分かっていただけましたか。
・通信制高校の調査書は、全日制や定時制とほとんど変わらない。
・欠席日数は、きちんと単位を取得していれば気にすることはない。
・本人に不利益になることは書かれない。
・調査書を発行してもらう時は、早めに、多めに出してもらうことが大切。
などをご紹介しました。
通信制高校からの卒業生の4割程度は、進学や就職もできずに卒業するという話を聞きました。
それぞれに色々な事情もあると思いますが、通信制高校で学んだこと、努力したことを是非今後に生かしてください。